オートデスクは3月25日、製造業向け3次元設計ツールの最新版「Autodesk Inventor 2010」日本語版を発表した。出荷開始は4月6日を予定している。

「Autodesk Inventor 2010」のパッケージ

Inventor 2010では、「2Dと3Dの連携」「設計者のためのCAE」「顧客改善要望への対応」「新分野への対応」という4つのポイントで機能拡張を行っている。顧客改善要望への対応では、200を越える要望に応えたという。

2Dと3Dの連携では、スケッチ要素(線や円、寸法など)をグループ化して配置できる「スケッチ ブロック」機能を新たに搭載。ブロックはAutoCAD から取り込むこともできるという。また、AutoCAD 2010にAutodesk Inventorで提供されていた、パラメータの数字を変更することにより設計図を変更する2Dパラメトリックが搭載されたため、互いの連携が行えるようになったという。

2Dパラメトリックの連携

「スケッチ ブロック」機能

ユーザーインタフェースでは、AutoCADに搭載されていたリボンインタフェースが搭載され、統一されたUI環境を実現した。

設計者のためのCAE機能では、プラッソテック社の「3Gauthor」のInventorへの統合により、構造解析を可能した。新機能では、あらかじめパラメータの取り得る範囲や選択肢を入力すると、その組み合わせの中から最適なものを選択するパラメトリック解析機能が提供され、解析専任者でなくても設計者自らが設計品質に関する要件を確認することが可能になった。

パラメトリック解析

パラメトリック解析でのパラメータテーブルの指定

「顧客改善要望への対応」では、自動車業界で比較的使われているCATIA V5のデータを利用することが可能になった。その他、大規模アセンブリのパフォーマンス向上を実現する「シュリンクラップ」のサポート、作図効率化のための「寸法整列」をはじめとする作図機能の強化、自由度が向上した板金機能などが要望に応える形で追加された。

また、新分野への対応では、新たに金型設計機能をサポートした。

他社3DCADトランスレータへの対応

金型設計機能をサポート

Autodesk Inventor は、モジュール構成により5 つのパッケージが提供され、各パッケージの内容と価格は以下のようになっている。

パッケージの内容

製品名 価格(税抜) 出荷開始日
AutoCAD Inventor Professional Suite 2010 117万円 4月6日
AutoCAD Inventor Suite 2010 85万円 4月6日
AutoCAD Inventor Simulation Suite 2010 102万円 4月6日
AutoCAD Inventor Routed Systems Suite 2010 102万円 4月6日
AutoCAD Inventor Tooling Suite 2010 102万円 4月9日

オートデスク 製品ソリューション本部長 大谷修造氏

オートデスク 製品ソリューション本部長の大谷修造氏は同社の製品戦略について、CADデータを単に設計だけに用いるのはなく、部品の製造、調達、組み立てといったサプライチェーンやマーケティングなど他の分野にも活用する「デジタルパイプライン」の連携が必要で、そのために自社製品のデータだけでなく、他社製品のデータを取り込み一元的に管理できることが重要であるとの認識を示した。

オートデスクが推進するデジタルパイプライン