Rambusでマーケティング担当バイス・プレジデントを務めるティム・メセージ(Tim Messegee)氏

高速メモリ・インタフェース技術の開発企業である米Rambusは2月5日に東京都内で記者会見を開催し、次世代のモバイル機器に向けた高速メモリ技術「モバイル・メモリ・イニシアチブ(MMI:Mobile Memory Initiative)」を発表した。

記者会見では同社でマーケティング担当バイス・プレジデントを務めるティム・メセージ(Tim Messegee)氏がまず挨拶し、Rambusの企業概要を説明した。同社は高速メモリ・インタフェース技術の開発企業として1990年に設立され、これまでDRAMベンダやASICベンダなどにメモリ・インタフェース技術をライセンス供与してきた。現在の従業員数は340名で、その3分の2をサイエンティストとエンジニアが占めるとメセージ氏は説明していた。

Rambusの企業概要

それから高速メモリ技術であるMMIの性能を簡単に述べた。MMIは入出力ピン当たりで4.3Gbpsのデータ転送速度を備えており、×32ビット構成のメモリチップで17GBpsのデータ転送能力を有することになる。携帯電話機や携帯型ゲーム機、ネットブックなどの次世代機に向けた。なお「イニシアチブ」と称しているが業界団体を結成する訳ではなく、Rambusが以前に提唱した高速メモリ技術「テラバイト・バンド幅イニシアチブ(TBI:Terabyte Bandwidth Initiative)」と同様に、開発技術の名称として使用しているようだ。

高速メモリ技術「モバイル・メモリ・イニシアチブ(MMI)」の概要。なお製造技術は40nmのCMOSプロセスを想定している

Rambusでソリューション・マーケティング・マネージャを務めるロブ・ダット(Rob Dhat)氏

続いてRambusのソリューション・マーケティング・マネージャを務めるロブ・ダット(Rob Dhat)氏がMMIの技術概要を説明した。次世代のモバイル機器は12GBpsを超えるデータ転送速度をメモリに要求するようになり、このような高いデータ転送速度を1個のメモリチップで実現できるのがMMI技術であると主張した。

次世代モバイル機器のメモリ・インタフェースに対する要求性能。12GBpsを超えるデータ転送速度が要求されるとする。この速度を、従来とほぼ同じコストの水準で実現し、バッテリの寿命は従来と同等以上に延ばす

次世代モバイル用メモリの用途。1080p対応のディスプレイ、1600万画素のデジタル・カメラ、フルHDのH.264符号化と復号化、リアルタイムの画像認識、1080pの画像レンダリングといった応用が挙げられている(なお、この画像は2008年7月に開催されたMEMCONでRambusが「The Next Generation of Mobile Memory」と題して講演したスライドで、今回の記者会見では披露されていない)

データ転送速度とメモリ技術の関係。0.8GBpsは×32ビット構成のLPDDR1-133メモリ1個で実現できる。しかし12GBpsになると12個のLPDDR1-133が必要になるのに対し、MMIであれば1個のメモリで実現できるというもの。比較の対象が旧式ともいえるLPDDR1なのはややアンフェアな気がする。せめて、最新世代のLPDDR2と比較すべきだろう。