11.3Gbpsのトランシーバを搭載

FPGAベンダのAlteraは2月2日(現地時間)、同社の40nmプロセス採用FPGA「Stratix IV」に、最大11.3Gbpsのトランシーバを搭載した「Stratix IV GT」シリーズを追加したことを発表した。また、併せて、40nmプロセスを採用し、3.75Gbpsのトランシーバを搭載したFPGA「Arria II GX」の提供も開始することを発表した。

2008年12月より出荷を開始している「Stratix IV GX」は、すでに最大8.5Gbpsで動作するトランシーバを搭載しているが、今回のStratix IV GTはトランシーバの速度をさらに向上させて40G/100Gbイーサネットへの対応を図ったもの。

AlteraのSenior Vice President,Product and Corporate MarketingであるDanny Biran氏

同社のSenior Vice President,Product and Corporate MarketingであるDanny Biran氏は、「通信インフラストラクチャのクライアント側では、音声(電話)・ビデオ(放送)・データ通信の3つの通信機能を1つの回線で提供するトリプルプレイのサポートが基本となりつつある」とし、「しかも、ビデオはSDからHDへと進化し、データの通信量も増大している」(同)と、より高速な回線が求められていることを強調する。

ただし、「端末としては、ローコスト、ローパワーのものが求められている。しかし、基地局側の設備にはより高速な処理が可能な装置が求められており、それぞれの領域にベストなソリューションを提供していく必要が出てきた」(同)と今回の製品ラインナップの拡充の意義を語る。

また、「通信分野以外にも、例えば医療機器分野や産業機器、コンシューマの分野でも高速トランシーバを用いたアプリケーションが求められるようになってきており、トランシーバ搭載FPGAにとって魅力的な分野が拡大してきている」(同)とする。

幅広い分野でトランシーバの採用が広がっている

同じアーキテクチャを採用

Stratix IVもArria II GXもTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)の提供する同じ40nmプロセスを採用しているほか、トランシーバも同じアーキテクチャを用いている。これについてBiran氏は、「Stratix IVとArria II GXは、トランシーバのアーキテクチャを同じにした。これにより、カスタマのエンジニアは1つのアーキテクチャを学ぶことで、あらゆる速度のトランシーバを扱えるようになる」と語るほか、「Altera側もアプリケーションに合わせて必要な機能を最適化して提供することが可能であるほか、独自に開発したIP(ハード/ソフト双方)で提供しているため、他社のようにその都度IPを購入したり開発したりという回りくどいことをする必要がなく、かつ技術のすみずみまで理解できているために、カスタマにより詳細なサポートを提供することが可能となる」(同)と、その自社側にとってもメリットが大きいことを強調する。

40nmプロセス製品全体でテクノロジを共通化

Stratix IV GTは、全部で6製品がラインナップされている。各製品の概要は以下の通り。

デバイス名 ロジック・エレメント RAM(Kビット) 18×18乗算器 11.3Gbpsトランシーバ(総数) I/O数
40GbE向けデバイス
EP4S40G2 230K 13.9 1288 12(36) 636
EP4S40G5 530K 20.3 1024 12(36) 636
100GbE向けデバイス
EP4S100G2 230K 13.9 1288 24(36) 636
EP4S100G3 290K 13.3 832 24(48) 754
EP4S100G4 360K 17.7 1024 24(48) 754
EP4S100G5 530K 20.3 1024 24(48) 754

この6製品の内、40GbE向け品である「EP4S40G2」がすでに出荷を開始している。残りの製品についても、「2009年中には提供を開始する計画」(同)という。

Stratix IV GTの製品性能としては、11.3Gbpsのトランシーバを12個(40GbE向け)ないし24個(100GbE向け)搭載するほか、残りの搭載トランシーバも6.5Gbpsに対応している。また、最大で53万個相当のロジック・エレメント(LE)、20.3Mビットの内蔵RAM、1,288個の18×18乗算器を搭載している。

Stratix IV GTの概要

ちなみに、GTシリーズがGXシリーズに比べて遅れて提供を開始した理由は、「開発ソフトウェアである『Quartus II』のGT対応バージョンである"v9.0"のリリース時期に合わせたため」(同)であり、他意はないとのこと。