ターボリナックスは、8月に提供を開始した「Turbolinux Client 2008」のLive Editionの出荷本数が、ダウンロードおよび雑誌への添付などを含めて、累計15万本に達したことを明らかにした。2009年3月までに、20万本の出荷を目指す。

出荷本数が15万本を超えた「Turbolinux Client 2008 Live Edition」

また、11月26日から出荷を開始した「フルディスクパッケージ(Full Disk Package)」版によって、Turbolinux Client 2008の製品ラインアップは、8月に出荷を開始した「ネットユーザーパッケージ(Net User Package)」版と、フリーダウンロード版からのアップグレードによる「オンラインプロダクトアップグレード(Online Product Upgrade)」版を含め、3つの商用版が用意されることになり、それぞれの特徴を生かして、今後、販売拡大を図る姿勢を示した。

Turbolinux Client 2008の商用版3バージョン

すでに、医療分野において今後1万本の導入規模での商談を開始しているほか、出版/印刷分野では数100本単位での導入商談が開始されるなど、企業ユーザーからの引き合いも増加しているという。

Turbolinux Client 2008は、仏Mandrivaと共同開発した「Manbo Core」を新規に搭載。感覚的な操作が可能な3Dデスクトップを採用し、複数のアプリケーションで同時に作業を行う際のウィンドウ操作や、複数のデスクトップ画面の立体表示ができるなど、使い勝手を高めたユーザーインタフェースへの強化を図っているほか、オープンソースならではの迅速な機能強化や、セキュリティへの対応を反映できるのが特徴。

デスクトップ環境では、KDE3.5のほか、特定業務などに使用する専用端末など、より軽量性が求められる環境向けにXFceを提供。また、ネットブックなどのディスプレイが小さいモバイル端末向けにMoblinを標準で搭載。タッチパネルPCなどにも対応が可能なようにしている。

また、システム起動時のスクリプト群の並列処理を行うため、OSの起動時間が、ブラウザが立ち上がるまで約20秒と、従来製品に比べて1/2 - 1/3に時間短縮されているほか、作業中の状態を保存しながら電力消費量を極限まで減らすことが可能なサスペンド機能や、OSレベルでの低消費電力化への工夫により、消費電力も10%程度改善されているという。

主要コンポーネント

主要アプリケーション

ターボリナックス 執行役員兼事業本部長 森蔭政幸氏

企業ユーザー向けには、OSレベルでのカスタマイズ対応や、セキュアな環境を実現するTOMOYO Linuxを搭載するといった強化を図っている。さらに無償での3年間の通常メンテナンスに加えて、4年間の有償による延長メンテナンスを用意している。

「日本に開発拠点を置く強みを生かして、OSの提供からサポートまでワンストップで提供できる。当社のユーザーの場合、3年から5年という利用期間が最も多く、延長サポートを含めて7年という期間は、ユーザーが安心して活用できる期間設定ともいえる」(ターボリナックス 執行役員兼事業本部長 森蔭政幸氏)とした。

加えて、商用アプリケーションとして、サン・マイクロシステムズのStarSuite9や、日本語環境を実現するジャストシステムの「ATOK X3」、リコーの商用フォント「リコーTrueTypeフォント」、マルチメディア環境を実現する「Turboメディアプレーヤー」のほか、「Adobe Reader 8」「Adobe Flash Player 9」「Real Player 11」「Skype2」などを標準搭載して提供。8月より発売されている「ネットユーザーパッケージ」版では、OS本体はCDで提供されるが、添付する商用ソフトはネットを通じてダウンロードできるようにしている。ネットユーザーパッケージ版の価格は9,800円。

無償で利用できるフリーダウンロード版では、期間の制限がなく、同OSのフル機能を利用できるが、オンラインプロダクトアップグレードを利用することで、商用アプリケーションのダウンロードでの利用や、ユーザー登録時点から60日間の回数無制限でのインストールサポートが受けられる。価格は7,800円。

また、11月から発売となったフルディスクパッケージ版は、商用アプリケーションを含めて、1枚のDVDに収録。手軽にインストールできる環境も整えた。価格は1万2,800円。フルディスクパッケージで提供されるDVDや、ネットユーザー版で提供されるCDは、それぞれLiveDVD、LiveCDから起動し、そのままインストールせずに利用することが可能になっている。

Turbolinux Client 2008 Live Edition Full Disk Package

「これまでLinuxを利用してみたくても、インストールすることに抵抗があるというユーザーが多かった。今回の製品では、CDやDVDからそのまま利用できるようにしたことで、インストールせずにTurbolinuxを手軽に体験できる。試験導入や試しに使ってみたいというユーザーに対して、導入の敷居を下げることができる機能」(森氏)という。ディスクから起動できることで、インストールする前に、Turbolinux Client 2008が利用できるPCであるかどうかを事前に確認できるという使い方もできる。また、Turbolinux Client 2008は、USBメモリなどの記憶デバイスにインストールできることから、ネットブックなどのドライブを持たないPCで利用する際にもメリットがあるという。

同社では、Turbolinux Client 2008のLive Editionの配布拡大に加えて、商用パッケージを搭載した製品へのアップクレードを促進するためのキャンペーンを、2009年1月以降に実施することで、利用拡大を図っていくという。さらに、2009年4月以降には、Moblinによる電源管理への対応を図るのに加え、現行製品で対応しているネットブックなどに搭載されているATOM対応に続き、ARMなどへの対応も図っていく計画だ。「ネットブックに向けては、プリインストールモデルでの市場投入を図りたいと考えている。現在、製品化に向けて、ベンダと検討を開始している」とする。

Turbolinux Client 2008として、3つの製品をラインアップしたに続き、プリインストールモデルの投入によって、需要拡大につなげたい考えだ。