マイクロソフトは11日、SQL Serverに関するラウンドテーブルを開催。米Microsoft SQL Serverマーケティング ゼネラルマネージャのダン・ノールト氏が「Microsoft SQL Server 2008」正式リリース後の反響や、今後の施策などについて解説した。

米Microsoft SQL Serverマーケティング ゼネラルマネージャのダン・ノールト氏

マイクロソフトでは8月に「Microsoft SQL Server 2008(以下、SQL Server 2008)」を正式リリースしたが、米Microsoft SQL Serverマーケティング ゼネラルマネージャのダン・ノールト氏は「リリースから3カ月を待たずしてSQL Server 2008 RTM(Release to Manufacturing:評価版)のダウンロード数は100万件を突破した。独立系ソフトウェアベンダーでのサポート人数は3万人を超え、過去1カ月間では250件のユーザーが市販製品としてSQL Serverを活用している」と、同製品が持つ勢いに満足そうな表情を浮かべる。

また、カスタマーで3万人、パートナーでは9000件がSQL Server 2008のトレーニングを受けており、現在は2500件のパートナーがソリューションの提供を開始。世界中のアナリストや第三者機関による評価も高く、Gartnerのレポート「Magic Quadrant」でBIおよびデータウェアハウス(以下、DWH)に関するリーダー格に位置付けられている。さらに「TPC-H」および「TPC-E」ベンチマークでも最高のパフォーマンスを発揮するなど、データプラットフォームとしての高度な機能性を見せている。

ノールト氏は「SQL Server 2008は優れたパフォーマンスを発揮しながらも従来通りの価格に抑えており、コアごとのチャージも行っていません」と、同製品の有用性をアピールした。なお、同社ではSQL Server 2008に関して、24カ月-36カ月の期間をかけて継続的に新機能を提供していく予定だ。

セルフサービスBIを実現する次期SQL Server「Kilimanjaro」

2010年上半期には、開発コードネーム「Kilimanjaro」として次期SQL Serverのリリースを予定。Kilimanjaroでは64以上の論理プロセッサに対するサポート能力、複数のアプリケーションおよびサーバ管理機能を備えるほか、注目の「セルフサービスBI」を実現する機能が盛り込まれている。この中核を担うのが、ユーザー自身が容易にデータのセルフサービス分析処理を行えるようになる新採用のBIツール「Gemini」だ。ノールト氏は「エンドユーザーに力を与え、より優れた意思決定を実現します」とし、セルフサービスレポーティング、共有・協業と管理の両立などを通じて、BIのメリットを幅広く享受できる環境が整うという。

なお、Geminiは「Microsoft Office」との連携機能を備えているため、CTP(Community Technology Preview)版の提供については次期バージョン「Office 14」のスケジュール公開を待つ形になる(Geminiとの連携はOffice 14以降で、Office 2007は対象外)。さらに同社では、今から24カ月-36カ月後にKilimanjaroの次のバージョンも提供する予定だという。

Kilimanjaroに搭載予定の「セルフサービスBI」

Kilimanjaroと並行して2010年上半期にリリースを予定しているのが、開発コードネーム「Madison」と名付けられたDWH(Data WareHouse)ソリューションだ。こちらは同社が7月に買収したDWHアプライアンスベンダー「DATAllegro」の技術を用いたもので、MPP(Massive parallel processing:超大規模並列処理)により数百TB規模のデータベースを構築可能になるという。MPPではコントロールノードと計算ノードに処理を分散し単一障害点をなくすことで高可用性を実現。レプリケーションにより、各テーブルへの分散配置が可能となっている。

サーバについてはパートナーであるHP、DELL、UNISYS、BULLが提供し、ストレージのコンポーネントはEMCが担当する。11月末には1兆行を超えるデータでデモを行っており、ノールト氏は「こうした超大規模な環境の中でも非常に低いTCOを実現し、マイクロソフトのBIと完全に統合化しています」と語る。さらに、7月にデータ品質管理ソフトを手掛ける「Zoomix」を買収したことで、高度なデータクオリティをデータプラットフォームの中でも実現できるようになったという。

コントロールノードと計算ノードに処理を分散することで単一障害点を排除

レプリケーションにより各テーブルへの分散配置が可能

そのほか、米Microsoftが10月27日に発表したクラウド版OS「Windows Azure」および、開発・運用支援を目的としたクラウド向けのサービスプラットフォーム「Azure Service Platform」に関する話題も登場した。Azure Service Platformには主要コンポーネントとして「SQL Services」「.NET Services」「Live Services」などが用意されており、このSQL Servicesを形成するサービスのひとつに「SQL Data Services」がある。SQL Data Servicesは、Azure Service Platformのデータサービス層として機能するもので、ノールト氏は「従来とは規模や可用性、処理速度、TCOなどを大幅に革新するサービスです」と語る。なお、SQL Server 2008はSQL Servicesの中核的な部分を担うものであり、レポーティングや分析、データの統合と同期などあらゆることが実行可能。SQL Servicesには、今後SQL Data Services以外のサービス提供も予定しているという。

SQL Serverに関する今後のロードマップ