消費者団体の主婦連合会はこのほど、「地上デジタル放送に関するアンケート調査」の結果を公表した。これによると、過半数にあたる52.9%の人が「地上デジタル放送の対応受信機を持っていない」と回答。また、地上デジタル放送の広報が「十分でない」と回答した人が多数を占め、"地デジ詐欺"が相次ぐ背景に周知不足があることを裏付ける結果となった。

調査は、今年7月から8月にかけ、16都府県の主婦連合会会員と一般消費者を対象に郵送で実施。904人から有効回答を得た。

これによると、「地上デジタル放送を受信できる機器を持っていますか」との質問に対し、52.9%の人が「持っていない」と回答。「持っている」と回答したのは42.8%だった。

受信機を持っていない人に、「テレビを買い換えただけでは映らない場合がある(アンテナなどの対応が必要である)ことを知っているか」と質問したところ、57.3%が「知っている」と回答したものの、36.8%が「知らなかった」と回答。依然として、周知が徹底していない状況が浮き彫りとなった。

さらに全員を対象に、「総務省など、地上デジタル放送を推進している側の広報についてどう思うか」(複数回答)と聞いたところ、全体の63.5%が「なぜ地デジになるかの、理由の広報が十分でなかったと思う」と回答。「費用負担についての情報を十分に伝えてこなかったと思う」との回答も、全体の54.1%を占めた。

さらに、「アンテナまで買い換えなくてはいけないとは思っていなかった。これまでの広報は受信方法の周知の点で不十分」と回答した人も、37.9%にのぼった。

また、こうした状況を背景に、"地デジ詐欺"が相次いでいることなどを踏まえ、「地デジについて、悪質と思われる勧誘を受けたことがあるか」と質問。0.9%が「ある」と回答した。

悪質な勧誘の例として、「家にいた高齢者に、すぐにでもアナログ放送が見られなくなるような話をされ、ケーブルテレビに加入させられた」「家電販売で、今買っておかないと品物がなくなるといって販売していた」などの声が寄せられている。

主婦連合会では、「デジタル機器やケーブルテレビへの、正確な説明による勧誘と同時に、アナログ機器の売り逃げにも対策が必要。消費者への注意喚起、相談体制の充実が急務である」としている。