調査会社の米Gartnerは25日(英国時間)、2008年第3四半期(7月-9月期)の世界携帯電話市場の報告書を発表した。同期の成長率は前年同期比6%となり、1桁成長に縮小した。ベンダー別シェアでは、英Sony Ericssonが米Motorolaを押さえ3位となった。

2008年第3四半期の出荷台数は3億853万台となった。これは前年同期と比べ6%の増加で、前年(2007年)第3四半期の増加率である前年同期比16%増の半分以下となる。Gartnerでは、世界レベルで進行している景気後退は成熟市場と新興市場の両方に影響を与えている、と分析している。新規加入者のペースは落ちていないようだが、買い替えサイクルが長期化しているようだ。

ベンダー別シェアでは、フィンランドNokiaが1億1797万台を出荷し1位を維持した。シェアは38.2%で、前年同期から0.4ポイント増となる。2位は韓国Samsungの5289万台で、シェアは17.1%。3位は2484万台を出荷し8.1%のシェアを獲得したSony Ericssonとなり、Motorolaの2463万台(8%)と韓国LGの2406万台(7.8%)を僅差で押さえた。

Gartnerによると、Nokiaは第3四半期、はじめて今回の景気動向の影響が数値に現れたという。成熟市場と新興市場の両方で影響を受けたが、中でも同社が「コンバージドデバイス」というカテゴリをつけているハイエンド・スマートフォンの販売が落ち込んだという。だが、第4四半期は、新製品の投入と年末商戦の影響で、Nokiaの販売台数は増えると予想している。

Samsungは好調で、前年同期14.4%から2.7ポイントもシェアを伸ばした。「Tocco」「Omnia」などのタッチ画面端末が好調で、ミッドレンジ機種の拡充も良い影響を与えたようだ。

Sony Ericssonの3位は、前年同期のシェア13%から5ポイントもシェアを落としたMotorolaの落ち込みによるところが大きく、Sony Ericsson自身は、欧州市場でのハイエンド市場と買い替え需要の減速の影響を大きく受けているという。Gartnerでは課題として、9月末に投入したWindows Mobile端末「Xperia X1」の部品不足、アジア太平洋地区での在庫増などを指摘している。

地域別には、アジア太平洋地区が最も好調で前年同期比13.8%増の1億1670万台を出荷した。東欧州/中東/アフリカ地区も、前年同期比13.1%増と2桁成長となった。北米市場も引き続き好調で、カナダResearch In Motion(RIM)や米Appleなどのスマートフォンが牽引し、前年同期比4.5%増となった。好調だったラテンアメリカ地区は前年同期比5.5%増と、成長率が縮小した。

マイナス成長だったのは日本と西欧州。日本は前年同期比28%減の940万台にとどまり、西欧州は前年同期の4720万台から減少し、今期は4350万台となった。

Gartnerでは2008年通年の成長率を約8%増と予想している。2009年についても、1桁台にとどまる予想だという。