今年22歳にして9年目のキャリアを持つ歌手のCrystal Kay。デビュー以来、学業と音楽活動を両立する日々を送りながら、今秋、大学を卒業。来年にはデビュー10周年を迎える。そんな彼女が、新たな場所へと向かう決意を込めたニューアルバム『Color Change!』を引っ提げ、約1年ぶりに全国ツアーを開催した。

10月8日の東京「Zepp TOKYO」でのライブを皮切りに、名古屋、仙台、大阪、福岡へ。11月7日、再び東京「Zepp TOKYO」でのライブをもってファイナルを迎えた。WOWOWでは、そのファイナル公演の模様を、11月26日(19:30~)に放送。本レポートでも、約2時間にわたって行われたCrystal Kayのファイナル公演の魅力をお伝えする。

全国ツアーを開催したCrystal Kay

『I Can't Wait』で幕開け

会場となったZepp TOKYOには、女性だけでなく、意外にも男性の姿も多く見られた。若い女性、母親ぐらいの年代の女性、カップル、サラリーマンなど、幅広い年齢層が集まる。外国人の姿もちらほら見られ、全米進出を視野にいれる彼女の実力を、早くも目の当たりにしたようだ。ファイナルとあって、開演前から客席からは高揚感が漂う。立ち見席にもぎっしり人が並び、熱気が辺りを包む。ライトダウンしたステージに、開演を告げる音楽のボリュームが上がり、客席はヒートアップ。大きな歓声と手拍子が起こる中、ショッキングピンクのミニスカートに、白のタキシード風ジャケット、銀色のサンダルを履いたCrystalが登場した。『I Can't Wait』で幕を開け、堂々とした歌とアップテンポなリズムで軽快に踊る姿に、会場は大きな歓声と手拍子に包まれ、1曲目とは思えない興奮状態に。さらに、曲は『It's a crime』、『Good Times』と続くが、手拍手は鳴り止むどころか激しさを増すばかり。Crystalの声が、力強く伸びやかに会場を圧巻する。途中、衣装を脱ぎ捨て、青いホットパンツ姿になると、会場からは「オー!」と大歓声が上がる。このまま興奮が続くのかと思いきや一変、4曲目『ITOSHIIHITO』では、ピアノの音色と共にバラードをしっとりと歌い上げ、観客も静けさを取り戻し聞き惚れた。

続く『こんなに近くで...』では、再度、手拍子が起こり、Crystalが手を大きく振りながら歌うと、観客も手を振り大きな波となって、会場は一体となった。歌い終わると、観客席からは「クリー!」コールが起こり、Crystalは、「みんな、元気だった~!?」と勢いよく挨拶。ファイナルへの意気込みを語り、「ファイナルということで、今日はWOWOWのカメラが入ってます!Wow(ワオ)!」とジョークで笑いを誘う一幕も。「今日は皆さん、楽しんでいってくださいね!」との声に、会場は大いに沸き上がった。

「大好きな歌を9年間、続けてこられたのも、皆さんの応援のおかげ」

Crystal Kayの魅力は、何と言っても、圧倒的な声量と歌唱力である。スローナンバーからアップテンポなナンバーまで、自由自在に歌いこなす。MCの後、ミドルナンバーを挟み、8曲目ヒット曲となった『恋におちたら』では、キャッチャーなメロディーを軽快に歌い、客席に何度もマイクを向け、会場と一体となって歌い上げた。また、抜群のスタイルで着こなす衣装と、長い手足で踊る姿も、見る人を魅了する。本公演でも、曲中ステージ上で衣装替えを行い、緑色のミニワンピースや赤と白のチェック柄のロングワンピースなど、色鮮やかな衣装をまとう。その度に、客席からは歓声が上がり、「可愛い!」と叫ぶ声も。9曲目、10曲目と大歓声と手拍子の中、11曲目には青いライトが灯り、会場が静まる。ピアノソロと幻想的な雰囲気が辺りを包み、オレンジのライトの中、地面に着くぐらいのピンクの長袖のロングドレスをまとい、Crystalが『帰り道』を熱く力強い声で歌い上げた。そうかと思うと、続く『涙のさきに』では、激しいドラムソロに導かれ、銀色のブラに水色のタイトスパッツ姿で現れた。観客はこれ以上ないほど一層盛り上がり、飛び上がって手拍子をする。Crystalもそれに応えるように、頭を振ってリズムに乗り、ステージで飛び跳ね、ラストナンバー『Can’t be Stopped』まで、息つく暇もなく、会場のボルテージは最高潮に上がり続けた。

終了後、会場からはアンコールを期待する拍手がどんどん大きくなる。そして再びCrystalが登場。「素敵な時間を(みんなと)一緒に過ごせて幸せだなって思う。ファイナルを迎えられたのも、サポートしてくれたスタッフやファンのみんなのおかげ! 本当にありがとう!」と、『History』を披露。続く『ONE』では、「みんなと一緒に歌いたい」と、会場と一体となって歌い、感動的なフィナーレとなった。公演終了後、「みんな、最高! 東京、最高! 本当にありがとう! 大好きだよ!」と言葉を残してツアーの幕が閉じた。

MCでは、今年7月から自身のブログを開設したことを報告。「ブログを始めたことで、ファンの皆さんと近づけた気がする」と語り、ファンへの感謝の気持ちを伝えた。また、9月には大学を卒業。社会人となった友人への想いを語り、「力になってくれる友達やみんながいることが、ほんとに支えになっています」と、再度、周囲の人たちへ"ありがとう"の意を伝えた。本公演は、Crystalがデビューから今までの9年間、周りの人たちに支えられて今があるという強い思いを持って挑んだライブであったと思う。みんなへの感謝を伝える歌と、これから新しいものへ向かっていく強い気持ちを込めた歌。ファイナルライブを観て、そんな彼女の想いに触れて欲しい。

『Crystal Kay Live Tour '08 Color Chage!』は11月26日(19:30~)にWOWOWで放送される。