デルは、同社が新たに提唱する「フレキシブル・コンピューティング」ための導入支援サービスを開始すると発表した。フレキシブル・コンピューティングは、ユーザーが、いつでも、どこでも、どの端末からでもアクセスでき、自由度を制限されないことをコンセプトとした、シンクライアントを中心とするソリューション。

フレキシブル・コンピューティングの背景

デル 執行役員 アドバンスド・システムズ・グループ本部長 町田栄作氏

デル 執行役員 アドバンスド・システムズ・グループ本部長の町田栄作氏は「デルでは、いままでサーバ向けのソリューションを数々提供してきたが、今後はフレキシブル・コンピューティングによって、エンドユーザーの部分もやっていきたい」と語る。

フレキシブル・コンピューティングでは、「オンデマンドデスクトップストリーミング」「バーチャルリモートデスクトップ」「リモートワークステーション」「クライアント ホステッド バーチャリゼーション」の4モデルのソリューションを提供する。

オンデマンドデスクトップストリーミングは、クライアント側でディスクを持たないネットワークブート型のソリューションで、データ自体はサーバ側にあるものの、CPUやグラフィック・ボードはクライアント側のものを利用する、シトリックスのCitrix Provisioning Serverに近いソリューションで、研究開発、一般的OA、医療、教育などのエリアをカバーする。

バーチャルリモートデスクトップは、仮想化技術を利用し、データセンター側に個々のデスクトップ環境を構築。データの保存だけでなく処理もデータセンターで行う仮想デスクトップインフラストラクチャー(VDI)システムと呼ばれるもので、VMware VDI、Citrix XenDesktopに近いものになる。

リモートワークステーションは、ワークステーション本体をデータセンターに設置し、ユーザーは手元のリモート・アクセス端末使って操作する、HPCC(High Performance Computing Cluster)、研究開発、CAD、ファイナンシャル用途の、リモート環境でのハイパフォーマンスを求めるユーザー向けソリューション。

クライアント ホステッド バーチャリゼーションは、アプリケーションを必要に応じて端末にダウンロードして利用する、アプリケーションの仮想化を実現する。1つのアプリケーションに対し、新旧の複数バージョンを同時に利用することが可能で、シトリックスのCitrix XenAppや、プログラムをHDDにキャッシュすることによりオフラインでも利用可能な、マイクロソフトのSoftGridがカバーしているエリアを想定している。

フレキシブル・コンピューティングのための4モデル

シンクライアント向けの端末「OPTIPLEX FX160」

そして、これらシンクライアント向けの端末として、同社では10月28日に「OPTIPLEX FX160」を発表している。なお、この端末には現在シングルコアのAtom 230が搭載されているが、年内には、デュアルコアのCPUを搭載したモデルも発売されるという。

デルが今回発表した支援サービスは、ユーザーがこれら4つのうちどのモデルが適しているかを分析、調査し、ユーザーに最適なソリューションを提案するサービス。具体的には、ユーザー調査をベースにアセスメントレポートの作成、コスト分析、代替案、推奨アーキテクチャ、導入戦略などを提供する「アセスメントサービス」。

アセスメントサービスの手順

5台程度のクライアントを設定し、実際ユーザーにシステムを導入しても問題ないかを検証する「PoCサービス」。これには、9月1日にオープンした、東京都港区にある東日本支社内のソリューション・イノベーション・センターも活用される。

そして、最大100台までのクライアントを設定し、限定された本番環境へのソリューションを提供する「パイロットサービス」の3つで構成される。

フレキシブル・コンピューティングのサービスメニュー

デルでは、これらアセスメントサービスやサーバ等のハードウェアを提供するが、シンクライアントのサーバソフトや仮想化ソフトは、シトリックス、マイクロソフト、VMwareなどのものを利用する。そのため町田氏は「フレキシブル・コンピューティングによって、ソフトウェアベンダー、システム開発を行うSIerとの協業、連携を加速化できる」語った。

フレキシブル・コンピューティングによるメリット