創業3年未満、年間売上高1億2,000万円未満のスタートアップに開発環境の無償提供、経営アドバイスを実施――マイクロソフトから新たなベンチャー支援策『Microsoft BizSpark』が発表された。米Microsoftが今月5日(現地時間)に発表していたもので(関連記事)、事業推進に必要な先行投資ができないスタートアップに対し、同社のサーバ製品や開発ツールなどの無償提供を行なう。米国発表時から日本国内でも反響を呼んでいたが、19日、東京都内で開催された「Microsoft Innovation Day」において日本での同日提供開始がアナウンスされた。

技術と人的ネットワークの提供

BizSparkは、「創業間もないベンチャー企業を成功に導く」(マイクロソフト 業務執行役員 CTO 加治佐俊一氏)ことを目的とした支援プログラムだ。Windows Azureが発表され、IT業界では"クラウド・コンピューティング"というキーワードが花盛りの中、アプリケーションをネットワーク経由で提供するSaaS(Software as a Service)ビジネスへの注目度が益々高まっている。BizSparkではそうしたSaaSに代表されるような、ネットワークビジネスに挑戦するスタートアップ企業をサポート。ソフトウェアの開発環境や運用サーバライセンスの無償提供、ネットワークパートナーとの交流などを通じて迅速な事業化を支援するほか、グローバルプログラムの利点を生かした世界進出支援を行なっていく。

「BizSpark」の支援概要

ネットワークパートナーによる支援を実施

支援期間は3年間、「ソフトウェアベースの製品やサービスを開発する非上場のスタートアップ」「創業3年未満」「年間売上高が1億2,000万円未満」の企業に対し実施される。無償提供されるサーバ/ツール群は、Microsoft Visual Studio Team System / Windows Server / Microsoft Office SharePoint Server / Microsoft BizTalk Server / Microsoft SQL Server / Microsoft System Center。また、製品提供に加え、BizSparkに賛同する企業・団体であるネットワークパートナーから、経営アドバイスや各社の強みを生かした支援を受けることもできる。たとえば、SaaS事業に必要となるホスティング環境は、ネットワークパートナー企業から割安で提供される予定だ。それ以外にも、人的ネットワークの構築も含めた「実践的にベンチャーが成功できる支援」(加治佐氏)を行なうとしている。開始当初のネットワークパートナーは、wipse (Windows+Servicesコンソーシアム)、KDDI、埼玉県創業ベンチャー支援センター、GMO VenturePartners、GMOホスティング&セキュリティ、モバイル・インターネットキャピタルの6企業・団体が務め、今後も参画企業を増やしていく。

BizSparkへ参加するには、ネットワークパートナーからの招待コードが必要。各パートナーはマイクロソフトが定める基準をもとに招待コードを発行し、スタートアップ企業はWebサイトから必要なソフトウェアのダウンロードなどを行なう。

「BizSpark」への申し込みはWebサイトから

「Startup Zone」では世界各国の支援対象企業を紹介

世界を視野に入れた支援プログラム

マイクロソフトはこれまで国内において、自治体との協働で地元ITベンチャーを支援する「ITベンチャー支援プログラム」や、同社製品による優れたソリューションを開発したITベンチャーを表彰する「Microsoft Innovation Award」などを展開。ベンチャー支援を通じた地域経済の活性化などに貢献してきた。今回新たに実施されるBizSparkでは、支援対象を"スタートアップ"に限定することで、人材離れなど低迷感のあるIT業界における起業促進も期待される。また、ワールドワイドで同時展開される点も従来の支援プログラムとは異なる。各国の支援対象スタートアップを紹介するポータルサイト「Microsoft Startup Zone」を通じたプロモーション活動も可能だ。BizSparkの支援企業数に制限はない。世界を視野に入れるスタートアップ企業はぜひ活用したいプログラムだろう。