地球温暖化をテーマにしたドキュメンタリー映画「不都合な真実」で、2007年にノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア元米副大統領が、早稲田大学で開催された「地球環境グローバルサミット2008」で講演した。アル・ゴア氏は、クリントン時代に第45代米国副大統領を務めたほか、著書「不都合な真実」の執筆も行っている。

講演を行うアル・ゴア元米副大統領(提供:早稲田大学)

冒頭アル・ゴア氏は、最近の金融危機による景気後退に対する一番良い救済策は、インフラ支出による雇用を生み出し、世界の役に立つインフラを整備し、その課程で持続可能な経済発展を実現していくことだと主張。そして、グリーンインフラが世界の注目を浴びるプロジェクトだと述べた。

そしてアル・ゴア氏は「現在、気候変動が人類にとって最も危険な危機であるが、これは大きな機会でもある。産業革命でイギリスでは木材がなくなり、石炭へのシフトが見られたが、石油時代は石油不足で終焉するのではなく、文明が別の代替案を決定したときに終わる。いま、そのチャンスを捉えなければならない。炭素ベースの燃料から永遠に無料な太陽、風力、波力、地熱に依存するものに転換し、効率を上げてエネルギー消費を減らし、森林を保護していかなければならない。ただ、このような前例のない取り組みに対応するには協力が必要で、そのためには人々が認識を共有しなければならない」と述べた。

なお、アル・ゴア氏はこれまでの地球環境保護活動が認められ、早稲田大学名誉博士学位が授与されている。