連結子会社が貢献

NTTデータは2008年度中間期(4-9月)の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比10.1%増の5,133億円、営業利益は同18.8%増の446億円、経常利益は同15%増の433億円、当期純利益は同7.2%増の227億円で、増収増益となった。連結子会社の拡大、アウトソーシングサービス、運用サービスなどの成長により増収となったとともに、受注高も同4.7%増の6,413億円となった。

売上高増に貢献したのは、itelligence AG、NTTデータジェトロニクス、NTTデータCCSなどといった連結子会社で、これら各社による増収効果は約297億円に上っている。itelligence AGはドイツにあり、製造業向けのSAP製品に強い企業で、2008年に買収した。

一方、営業利益446億円のうち406億円は、単独の成果だった。売上高増による粗利増は117億円で、連結子会社拡大により、販管費が33億円増えたが、増収などに伴う利益増が吸収した。

主力の金融、法人の今後は不透明

分野別の状況をみると、稼ぎ頭は売上高の43%を占める金融分野で、一部の合理化/省力に向けた投資は見込まれるが、世界的に広がっている金融不安により不透明感が増し、7月の時点では今後「微増」との見通しだったが、今回、横ばいもしくは微減との見込みに修正した。

金融分野に次ぎ、全体の33%を占める法人向け分野は、景気減速の影響が製造業のIT投資にすでに出始めているという。流通業では、個人消費の低迷と食品メーカーの出荷価格の高騰で採算性の悪化が続き、IT投資の縮小傾向が継続するとみられ、「微増」としていた見通しは「微減」あるいは「減」の可能性があると修正された。

公共分野は、中央省庁の情報化予算がやや縮小する傾向が続いているものの、政府の掲げる「IT新改革戦略」の具体的施策推進による投資増は見込まれる。地方自治体も財政状況は厳しいが、防災、施設管理といった「安心・安全」分野の市場は拡大が期待できるという。また、ヘルスケア分野は、医療制度改革に関わる、診療報酬明細書関連システムなどの需要増が見込まれる、との状況で、今後は「横ばい」との見通しだ。

NTTデータ 山下徹社長

今年度通期の業績予想は、売上高が同4.2%増の1兆1,200億円、営業利益は同9.5%増の1,050億円、経常利益は同7.1%増の1,010億円、当期純利益は同77.3%増の540億円としており、従来の予想値を変えていない。山下徹社長は「公共向けは景気変動の影響をそれほど大きくは受けない。金融も、インフラ系はあまり大きな影響は受けない。また、(複数の銀行などで利用できる)共同センターは、環境が厳しいと、かえって需要が増える」と話す一方、「法人向けは厳しい」との見通しを示すとともに「来期は予断を許さない」とした。

2010年3月期には、海外売上高が1,000億円に

NTTデータ 榎本隆副社長

同社はグローバル化の強化を図り、2007年度には183億円であった海外売上高を今年度は600億円に伸長させることを目指している。今中間期の業績にも大きく貢献したitelligence AGの買収は、これらの施策推進の一環であるが、買収・合併、出資について山下社長は「専門的な能力、知識や、当社がほとんど着手していない市場分野に強い企業に注目して出資していきたい。小規模でも、良いノウハウを持っているところとなら組む」としている。同社は、中期経営計画の到達年度となる2010年3月期には、「海外売上高が1,000億円が射程に入った」(榎本隆副社長)ことを明らかにした。海外では、21カ国60都市に拠点を置いており、従業員数は4,800人に上っている

また、同社はこの第2四半期中の9月に、新ブランド戦略を発表している。1967年に当時の日本電信電話公社がデータ通信本部を設置した時点を第1の創業、1988年にNTTデータ通信(1998年 8月NTTデータに社名変更)が発足したことを第2の創業とし、会社設立20周年にあたる2008年を第3の創業と位置づけ、「変える力を、ともに生み出す」との表題を掲げ「NTTデータが、顧客とともに、変革の構想から実現までをサポートし、グループの総力を結集し、価値を創造して、社会に貢献していきたい」(山下社長)との意思を込めている。