10月18日、東京・六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズにおいてアニメ映画『HELLS ANGELS(ヘルズエンジェルス)』の上映と舞台挨拶が行われた。

『HELLS ANGELS』は地獄を舞台に少女りんねの活躍を描く異色アニメ。ダークでポップな見た目とは裏腹に、熱すぎるほど熱い作品となっている。全編にあふれるメッセージはずばり「ド根性」! 「元気があればなんでもできる」を合言葉として、体当たりのギャグとハードなストーリーが渾然一体となった、ハイテンションアニメに仕上がった。上映時期はまだ未定ながら、この度第21回 東京国際映画祭animecs TIFFワールドプレミアとしてお披露目が行われた。

『HELLS ANGELS』メインビジュアル。地獄が舞台とあって、本編でも黒が随所で効果的に活用されている

『HELLS ANGELS』ストーリー概要
元気娘「天鐘りんね」は、交差点で1匹の猫を救った際、不慮の事故により転校してしまった! 転校した「三途ノ川学園」はなんと地獄の学校! 学園長「ヘルヴィス」により、自分が死んでいると告げられたりんねだが、「元気があればなんでもできる」というママの言葉に支えられ、元の世界に戻る方法を探しながら、落ちこぼれクラスメイト達ともトモダチになっていく。しかしある時、イケメン生徒会長「九頭センパイ」から、「生きたまま地獄に連れてこられている」という事実を知らされたりんねは、九頭達と共にヘルヴィスと戦うことを決意する! 果たしてりんねはママの元に戻れるのか!? そして、りんねが地獄にやってきた真の意味とは!?

元気が取り得の天鐘りんね (cv.福圓美里)。地獄に落ちても突っ走り続けるひたむきさが周囲を少しずつ変えてゆく

原作は『スターウォーズ ジェダイの復讐』の公式コミックを担当し、近作に『武死道』などがあるヒロモト森一。またモンスター・デザインとして『仮面ライダー電王』のイマジンをデザインした韮沢靖が参加。キャラクターデザインと作画監督は『キル・ビル』のアニメパート監督を務めた中澤一登が担当した。監督は『デ・ジ・キャラット』(作画監督)、『蟲師』(絵コンテ)などに参加した山川吉樹で、本作が初監督作品となる。アニメーション制作は『DEATH NOTE』、『魍魎の匣』などのマッドハウス。

生徒会長の九頭龍 (cv.岸尾だいすけ)。イケメンなので学内にもファン多し

三途ノ川学園長のヘルヴィス (cv.立木文彦)は最大の敵!? 濃すぎ

りんねが転入したドブネズミ組のクラスメイトたち。いきなりガン飛ばしまくりです

昨今の学園ものに足りないもの、それはバトル! 拳と拳のぶつかり合いはもちろん、球技大会も開催?

舞台挨拶には山川吉樹監督はじめメインスタッフとメインキャスト、主題歌を担当したJAMOSAとSphereが顔を揃え、完成まで4年以上を費やした本作の初上映の喜びを語った。

上映後に行われた舞台挨拶。客席からは「幸せな気分で帰れます」との感想も送られた

■山川吉樹(監督)
「最初この作品はまず企画としてキャラクターデザインの中澤一登ありきで、中澤君が『あいつならたぶん変な料理はしないだろうな』って監督に思いついたのが僕だったようです。まず思ったのはこの作品は小細工できないなということ。『アニメ風にこうしました』というのでは台無しになると思いまして『そのまんまやるしかないね』『そうだね』と中澤君と打ち合わせしました。この作品について彼と打ち合わせしたのは4年間でほとんどその1回だけです」

■ヒロモト森一(原作)
「自分のマンガが映像化されるは初めてで、作画監督の中澤(一登)さんには『動かしにくい』とよく言われました。元の作品が600ページぐらいあるんですが、それが2時間によく入ったなと。とても楽しく見れました」

■韮沢靖(モンスター・デザイン)
「原作の前にオリジナルフィギュアの企画の話があって、そこでデザインしたモンスターをヒロモトに『俺のこれ、マンガに使ってみる?』みたいな飲み屋での話から始まったんです。ヒロモトのマンガは線が非常にダイナミックでワイルドなんですよ。その原作のイメージを映像でちゃんと拾っているところがやっぱりさすがでしたね」

渾身の初監督作を仕上げた山川吉樹監督。「4年かかってると見る度に自分のなかに勝手な解釈が生まれてくるんで、まだ冷静に見られないですね」と完成の心境を述べた

原作のヒロモト森一(左)とモンスターデザインの韮沢靖(右)。「ヒロモトは最初『食パンをかじって走る女の子が描きたいだけ』って言ってました」(韮沢)

■福圓美里(天鐘りんね役)
「本当に収録が大変で、あんなに叫んだことは過去にないぐらい2時間叫びっぱなしでした。ここまで体当たりでやらせていただいた作品はほかになかったので完成が楽しみでした。拝見させていただいて、やっぱり絵があってこその作品だなと思いました。とても感慨深かったです」

■岸尾だいすけ(九頭龍役)
「収録のときは『結構難しい作品だから1回見ただけで伝わるかな?』なんて思ってたんですが、見たらわかりやすくテーマが提示されてたんで僕の取り越し苦労に終わってよかったなと思いました。収録はセリフがとにかくいっぱいあったので、噛まないようにという思いでやっていました」

約2時間叫びまくりの作品を演じきった福圓美里(左)と岸尾だいすけ(右)。「普段抑えた芝居をなさる方も盛大に声を張って空気が薄くなる感じの現場でした」(福圓)

主題歌『BREATHE AGAIN feat. Sphere』を担当したJAMOSA (左)とSphere (右)。「地獄に落ちたくないなと思ったので、いい子にしようと思います (笑)」(JAMOSA)

■JAMOSA(主題歌『BREATHE AGAIN feat. Sphere』担当)
「私はまだ地獄に落ちてはいませんが(笑)、生きていていろいろ大変なこともあるし、大変なことから抜け出したときの生きている喜びは、すばらしいと感じています。今回の『BREATHE AGAIN』という曲は、息をすることが本当にそれだけでも幸せ、という曲だったんですが、映画とぴったりだったので本当に感動しました」

■Sphere(主題歌『BREATHE AGAIN feat. Sphere』担当)
「ある夜、JAMOSAから連絡があって『いまスタジオで曲作ってるんだけどちょっと手伝ってよ』と言われてスタジオに遊びに行って『じゃあやってみよっか』って本当にその場で30分ぐらいで書き上げてレコーディングさせてもらったんです。こんなところまで来ると思っていなかったので、本当にありがたいと思っています」

『HELLS ANGELS』の公開形態は10月現在のところ未定。情報は公式サイトでアナウンスされるとのことなので、随時チェックしてほしい。

フォトセッションから。プレミア上映という貴重な機会だけにチケットも完売となった

(C) ヒロモト森一・韮沢靖/集英社/ヘルズエンジェルス製作委員会