FPGAベンダの米Actelは10月27日(現地時間)、携帯機器向けFPGAとして「IGLOO nano」「ProASIC3 nano」を発表した。2シリーズ併せて約50品種のデバイスが提供される。

IGLOO/ProASIC3 nanoシリーズのパッケージ(左の画像の矢印で指したパッケージが3mm×3mm品で、右が3mm×3mm品のみを写したもの)

nano製品の提供形態各種(分かりづらいが、ナノ製品と書かれているものが新規の製品で、、新製品と書かれているものが既存のダイを流用し、新パッケージを組み合わせたものなどとなっている。ちなみに25万ゲートクラスの製品になると、ARMのCortexコアが搭載できるという)

ActelのCEO兼PresidentであるJohn East氏

2つのnanoシリーズについて、同社CEO兼PresidentのJohn East氏は、「この5年間、Actelはコンシューマ市場に向けて注力してきた。カスタマの要望は、モバイル機器に対しプログラマブルロジックを使用したいといったものであったが、コスト、消費電力、チップサイズの問題で実現が難しかった」とし「"nano"は米国ではとても小さいという意味を持っている。今回の2つのシリーズは、コスト、消費電力、チップサイズが小さいという意味を込めて銘々した」(同)とする。

集積度は1万から25万ゲートで構成され、バスホールド機能付きFlash Freeze技術を採用しているほか、PLLやSRAM、ユーザーNVMなどが搭載されている。

「1990年ごろはシステムはパフォーマンスを重視する設計が主であった。また2000年ごろはコストを重視する設計であった。しかし、現在は消費電力、そしてサイズを意識することが重視されている」(同)であり、nanoシリーズも、そうした部分が意識した特長が取り入れられている。

具体的には、2つのnanoシリーズには"電力""サイズ""リードタイム""温度""価格"という5つの特長があるという。電力はスタティック電力で最少2μW程度、パッケージサイズは最少3mm×3mmを実現した。

5つの特長

システムゲート1万のFPGAにおける消費電力比較

また、動作温度は従来のFPGAがマイナス温度を保証しなかったのに対し、-20℃~+70℃までと保証範囲を拡大させたほか、リードタイムに関しては、あらかじめActel側で在庫を確保することで、リードタイムゼロ週を目指すという。

これにより「予測が難しいカスタマの発注に対し、nanoは常に十分な在庫を持つことで、カスタマの要求に即座に対応することができるようになる」(同)とする。

現在、6万/12万5,000/25万システムゲートのIGLOO/ProASIC3 nano製品に関してリードタイム0で対応できるほか、2009年初頭には、その他の集積度のFPGAでもリードタイム0が達成できる見込みという。また、KGD(Known Good Die)での提供も可能となっている。

また、価格はシステムゲート数1万の製品が、QNG48パッケージで69セント、KGDでは49セントからとしており、大量注文時では50品種以上で1ドル以下での提供が可能だとしている。

同社では、プロトタイプ製作やプログラミング向けに「IGLOO Icicleキット」を99ドルで提供している。これは、1.4インチ×3.6インチのキットで、IGLOOを使用する携帯機器の設計を短時間で簡単にプログラミング、評価、修正を行うことができるようになる。

なお、2008年11月には、VQG100パッケージ収納で25万ゲートの「IGLOO AGLN250」を1個搭載したnano FPGA用スターターキットを49.95ドルで発売することを予定している。同基板は、複数の電圧レベルが供給され、短時間でのプロトタイプ製作とすべてのI/Oピンへのアクセスができ、Flash Freezeモードコントロールのデモンストレーションと電池運用が可能となっている。