米Yahoo!は10月21日(現地時間)、2008年第3四半期(7-9月期)決算を発表した。同四半期の売上は17億8600万ドルで前年同期比1%のアップ、純利益は5400万ドルで前年同期の1億5100万ドルから大幅に減少した。また今回の決算発表に合わせ、先週末から米国メディアで報じられていた人員削減を伴うリストラプランが正式発表された。第4四半期中に従業員の約10%に相当する約1500人を削減し、2008年末までに4億ドルを節約、年間コストを39億ドル規模までに圧縮する。

米Yahoo!共同創業者でCEOのJerry Yang氏は「経済情勢とオンライン広告市場が軟調に推移するなか、われわれは短期の利益だけでなく、長期にわたって戦っていくための力を強化していかなければならない」とコメントしている。今年に入ってからのYahoo!株価はMicrosoftの買収提案で30ドルに到達したのを頂点に、買収破談後に20ドル近辺へと急落、現在では米国株式市場の崩壊に歩調を合わせる形で10ドル台前半にまで下落し、21日終了時点で12.07ドルとなっている。Microsoftと揉めていた時点の株価と比較して3分の1近くにまで時価総額が減少していることになり、株主らの不満を払拭できるだけの改革プランを示す必要に迫られている。

だが現状でYahoo!が困難を突破する道を見いだすのは容易ではない。まず広告市場の先行きが非常に不透明なこと。金融危機の実体経済への波及は若干タイムラグがあるといわれており、金融セクター以外の米国企業のバランスシートで表面化するのは今年の第4四半期以降とみられる。これが企業の広告費抑制へとつながり、来年以降の広告市場拡大にブレーキをかけることになる。Yahoo!決算でも第3四半期の売上がほぼフラットになっているほか、通年売上を71億7500万-73億7500万ドルと従来と比較して5億ドル近く低い水準に下方修正しており、影響がすでに出始めているようだ。またYahoo!の頼みの綱であるGoogleとの提携も先行きが不透明だ。行政関係や専門家を中心に提携を認める意見がある一方で、Microsoftなどのライバル企業や広告主協会などは強固に反対の姿勢を見せており、完全に意見が割れている。少なくとも短期での問題解決は見込めない。