「ゲームファンも安心して観られる作品です」

神谷誠
1965年生まれ。東京都出身。平成『ゴジラ』シリーズ、平成『ガメラ』3部作などの作品で助監督を務め、『ホワイトアウト』(2000年)で特撮監督デビュー。『CUTIE HONEY キューティーハニー』(2003年)、『亡国のイージス』(2005年)、『日本沈没』(2006年)、『L change the WorLd』(2008年)ほか数々の作品に参加。『真・女立喰師列伝/歌謡の天使 クレープのマミ』(2007年)にて脚本・監督デビューを果たす。またゲームのムービーやCM、メイキングビデオ、TV番組の再現ドラマ等も幅広く手掛ける

フルCG長編映画『バイオハザード ディジェネレーション』で長編監督デビューした神谷誠。神谷監督は、これまでも『亡国のイージス』(2005年)、『日本沈没』(2006年)、『L change the WorLd』(2008年)など、様々な大作映画で特撮監督として活躍してきた人物。そんな「特撮のプロ」ともいえる神谷監督が、初めて映画監督として手がけたフルCG作品について語りつくす。

――原作となる『バイオハザード』はゲームも実写映画もとても有名です。今回のフルCGでの映画化企画には、どういう心境で臨んだのでしょうか?

神谷誠(以下、神谷)「僕自身もゲーム版のファンだったんで、話を頂いたときは後先考えずに『やるやる、やります!』って感じでした。ふと改めて思うと『そんなビッグタイトル、大丈夫かな』と不安になりました」

――ドアを開けるシーンや、銃の照準を合わせるシーンなど、ゲーム版のような一人称視点が印象的でした。

神谷「『バイオハザード』は実写映画もありますが、そちらはあくまでゲームを原作としたオリジナル・ストーリーなので、ファンは"別物"と感じていたと思うんです。実際、プロデューサーの方々にもそういう思いがあったようで、今回の企画はゲームの正統な続編の映像化作品という意図がありました。だから、ゲームのイメージを壊さないように、またゲームファンの人が見ても違和感のない作品を目指したんです。ゲームをプレーしたことのある人が"ニヤリ"とするようなシーンを入れつつ、ファンも安心して観られる作品を目指しました」

――家庭用のモニターでプレーするゲームと、スクリーンで観る映画の違いは意識されましたか?

神谷「もちろん1時間半という時間を拘束して見せるものなので、その辺は飽きさせないように意識して作っています。以前カプコンさんが発売した『ディノクライシス3』というゲームのムービーを作ったことがあるのですが、あくまでムービーパートなので、一番重要なところでゲームパートに入れ替わってしまうというストレスがありました。その点、今回は全部、自分がコントロールできましたからね。まあ、僕がプレーしている様子をみんなに見せているような感覚かもしれないです(笑)」

――CGでゾンビを描くにあたって、何かこだわりはありましたか?

神谷「ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』に衝撃を受けて、高校生のときにゾンビが出てくる8mmの自主映画を撮ったんです。『バイオハザード』のファンになった要因も、銃が好きでモデルガンを集めていたことと、ゾンビそのものが好きだったからなんですよ。だから今回も、ロメロ監督のオリジナルの『リビングデッド』シリーズの雰囲気にこだわって作りました。最近は走るゾンビが流行っていますが、プロデューサーの小林さんからも"うちのゾンビは走りませんから"と言われていましたので」

バイオハザード ディジェネレーション

ラクーンシティの大惨事から7年後、アメリカの中南部工業都市にある空港にゾンビが発生し、空港は大パニックに陥る。事態収拾に当たるため大統領直属のエージェントであるレオン・S・ケネディは特別指揮官として、空港に向かうのだった……

あのクレア・レッドフィールドも登場しレオンと再会する

この映画は、ゲームの『4』と『5』を繋ぐ物語である

(C)2008 カプコン/バイオハザードCG制作委員会