「ブロフェルドは幻の悪役」 - 007シリーズのウンチクで楽しむSWATCH最新作

スウォッチグループ ジャパンは14日、新作腕時計「007/ヴィラン・コレクション」の発売を記念して、都内でプレスイベントを開催した。スウォッチがブランド誕生25周年を記念して世に送り出したこの007/ヴィラン・コレクションだが、単に007のロゴがレイアウトされているというだけではない。1962年公開の第1作「ドクター・ノオ」から2009年1月公開予定最新作「慰めの報酬」までの全22作に登場する悪役を、大胆なひねりをきかせ、ファッション感度の高いデザインに落とし込んでいるのだ。ここでは、トークイベントで、映画007シリーズのDVDの字幕監修を務める酒井俊之氏らが紹介した、映画と同コレクションにまつわる薀蓄(うんちく)をお伝えしよう。

まず注目したいのは、ショーン・コネリー時代の007シリーズに必ず登場するという国際テロ組織「スペクター」だ。名だたる悪役を輩出したスペクターだが、法律上の問題で近作には登場していない"幻の組織"。それだけにファン泣かせなのが、スペクターのトップに君臨するエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドをモチーフにした2モデルだろう。ブロフェルドは、幾度となくボンドを翻弄する悪役の代表格であると同時に、ボンドの妻を殺したいわば宿敵。それだけに、「ブロフェルドの猫」と「ブロフェルド」の2つのモデルに採用されているのもうなずける。両モデルにあしらわれているのは、劇中でスペクター幹部クラスの悪役が必ずはめているという指輪の紋章「ブラックオクトパス」だ。

スペクターの幹部としては、「サンダーボール大作戦」に登場するNo.2のエミリオ・ラルゴや「ロシアより愛をこめて」の悪役ローザ・クレッブなどもモチーフになっている。酒井氏によれば、「サンダーボール大作戦」は前3作の成功を受けて制作費がケタ違いに上がり、初めて世界ロケが敢行された記念碑的作品という。それを反映してか、劇中でスペクターがNATOに対して要求するダイヤモンドを模したホワイトクリスタルや、ネクタイシェイプの長針/短針など、随所に007のエッセンスがちりばめられた豪華なモデルとなっている。

次に、シリーズ屈指の完成度でファンの多い作品という「私を愛したスパイ」の悪役、ジョーズを表したモデルに注目しよう。ストラップにジョーズの鋼鉄の歯を、ダイヤルに歯型をあしらったという小細工のないデザインに仕上がっている。酒井氏によると、「ジョーズは台詞がないキャラクターだが、続く第11作『ムーンレイカー』で一言だけ台詞を話す」という。いかにもマニアらしい薀蓄だ。なお、「ムーンレイカー」は当時のSFブームに乗って、急遽制作された宇宙ものだそう。時計は黒と白の明快なデザインで、ダイヤル上には悪役ヒューゴ・ドラッグスが経営するスペースシャトル製造会社「DRAX ENTERPRISE CORPORATION」の文字がレイアウトされている

会場には、ここで紹介したモデルを含むコレクション全モデルが、モチーフとなった悪役の写真とともに展示され、個性を輝かせていた。圧巻は、22本のヴィラン・コレクションをワンパッケージにした「The James Bond Limited collection box」。世界限定222ケースが12月1日に発売される。価格は43万5,000円と手ごわいが、セクシーかつゴージャス、コミカルにしてエレガントな映画007シリーズの魅力を凝縮した逸品ばかり。スウォッチらしい遊び心あふれるデザインだけでなく、スーツにも合わせられるシックなモデルも用意されている。

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