デパートの屋上には、なぜか時代から取り残されたような、郷愁を誘う設備が多々ある。キャラクターが描かれた、安っぽいけど味のある乗り物、忘れられたようなポップコーン販売機。時代が止まったような世界には、かつて通り過ぎてきた時代の残り香があるようだ。このコーナーでは、それらをいま一度、しっかり眺めてみようと思う。これからはデパ地下より、デパ屋の時代!? ということで今回は、日本橋三越本店の屋上に行ってきました。

東京メトロ銀座線に乗ると、日本橋と神田の間に「三越前」という駅がある。ここが日本を代表する百貨店、三越の日本橋本店の最寄り駅。それにしても、三越前という駅名は、バス停ならまだしも地下鉄駅としてはずいぶんと偏った名前ですよね。これには訳があって、日本初の地下鉄だった東京地下鉄道(現在の銀座線の浅草~新橋間に当たる)が建設される際に、工事費が底を尽き、直接出入り口を設けることを条件にこの駅を開業したのが由来なのだ。いわば三越は地下鉄のスポンサーだったんですね。今でいうネーミングライツのようなものでしょうか。……続きを読む

屋上にそびえる塔には、"○に越"の三越マーク