米IBMは10月6日(現地時間)、同社の"クラウド"市場における最新の取り組みを明らかにした。昨年末に発表したBlue Cloudという企業のバックエンドシステムをクラウド対応させるソリューションの延長となる。新しいCloud Servicesでは、従来の"オン・プレミス(On-Premise)"型ソリューションとクラウド型ソリューションを組み合わせ、ISVといったパートナー企業や顧客企業のクラウド対応を支援する。「Bluehouse」と呼ばれるSNSの新サービスの提供のほか、従来の同社のSaaS型サービスを包含した体系化が行われている。

IBMによれば、IT企業はシステムの柔軟性実現やコスト削減のため、従来モデルに加えてクラウド型ソリューションへの対応の必要に迫られている。こうした需要に応えるためにIBMのクラウド対応ポートフォリオを拡充し、ISVや顧客企業がクラウド環境に対応できる環境を整えるのが今回の狙いだと説明する。同社ではすでにSaaSベースのサービスを一般提供しているが、これらポートフォリオを整理してユーザーがシステム構築の一環として利用できるようにするのが狙い。

今回発表されたのは次の6つのCloud Services。またIBMでは新サービスの発表に合わせ、ISV向けのリソースとしてホワイトペーパー群やSaaSシステムのテスト環境などの各種サービスの提供も発表している。

Bluehouse

Lotusポートフォリオの一部として提供されるコラボレーションツール。組織をまたいで個人同士が情報共有を行えるWebベースのSNSポータルを提供する。現在無料のパブリックベータ版として専用サイトにてサービスが開始されている。

Lotus Sametime Unyte

米IBMが2007年8月に買収した米WebDialogsが、同社のリアルタイム・コラボレーションスイートSametimeに統合され、Sametime Unyteの名称で提供されている。WebDialogsはSaaSベースのリアルタイム会議システムで、チーム間やユーザー間でWeb会議を開催できる。米MicrosoftのOffice Live Communicationsや米CiscoのWebExなどに対抗する製品となる。

IBM Rational Policy Tester OnDemand

ポリシーベースで運用されるWebコンテンツの検査システム。オンデマンド型で起動し、コンプライアンス用途に利用できる。

IBM Rational AppScan OnDemand

Webアプリケーションの検査システム。セキュリティ上の問題を検査する。オンデマンド型で起動し、テストにかかる時間やコストを省略化する。

Telelogic Focal Point

米IBMが2007年6月に買収したTelelogicの製品管理ソリューション「Focal Point」のオンデマンド版。分析から選択まで、意志決定に必要な情報の集中管理を行える。

Remote Data Protection

米IBMが2007年12月に買収した米Arsenal Digital Solutionsのオンデマンド型データ保護ソリューション。IBM Global Technology Servicesを通して24時間体制で提供される同サービスでは、ユーザーデータのアーカイブ化やリストア処理まで、データ保護に関するサービスがリモートのWeb経由で提供される。