米Googleは9月25日(現地時間)、同社とYahoo!の提携の正当性について説明する「Facts about the Yahoo-Google advertising agreement」という解説ページをオープンした。これは今年6月、Yahoo!が米Microsoftによる買収攻勢にさらされるなか、両社が検索連動広告システムにおける包括的提携を結んだことに起因する。Microsoftをはじめ広告主や政府機関などが、同提携によって検索広告のシェアが90%に達することを問題視。公正な競争の面から提携を認めるべきではないとの意見が挙がっている。

Googleが解説ページの中でまず主張するのは、公正な競争が阻害されるという疑問への回答だ。Google-Yahoo!の提携に異を唱える団体の主張は、主に「提携により特定企業による検索広告のシェアが90%に達し、競争が阻害される結果として価格面で不利益を被る」という点に集約されている。Googleによれば、両社の提携はあくまで提携であり、買収・合併などによる業務統合ではないと前提したうえで、Yahoo!が新たな広告価値を模索するための手段の1つだとする。具体的には、今回の提携でYahoo!は自身の検索結果ページに従来のOvertureベースのテキスト広告だけでなく、新たにGoogleのAdSense用の広告スペースを設ける。結果としてYahoo!の検索ページにはOvertureとAdSenseの両方の広告が同時に出現する。Yahoo!のメリットとしては、AdSense表示分からくる売上収入に加え、さらに従来のOvertureでは広告に表示されなかったようなキーワードが存在したとしても、AdSenseによる広告表示でカバーされるため収益性が向上する。

また両社が提携することで広告単価が上昇するという意見にも異を唱えている。Yahoo!はあくまでAdSenseのスペースを利用するだけで、現在Googleが提供している検索キーワードの広告オークションのシステムには介在できないと説明する。そのため、従来のオークションの価格決定システムに何ら影響を与えることはなく、逆にYahoo!での露出機会が増えることで広告主のメリットになるという。Yahoo!が今回の提携によって数億ドルの資金を見返りとしてGoogleから受け取ったことについても、「Yahoo!がより優れた広告システムの提供で稼ぎ出すもの」と主張しており、あくまで将来への先行投資だと説明する。

そしてこうした技術提携についても、産業界では珍しくないことだという。例えば、トヨタはハイブリッド技術を米Fordに供与しているし、米Hewlett-Packard(HP)のレーザープリンタのエンジンはキヤノンから供与されたものだ。インターネット検索の分野でも、2004年までYahoo!は検索エンジンと広告システムにGoogleの技術を使用しており、Microsoftは2006年までMSNサーチの中でYahoo!のエンジンを採用していた。その後両社は買収や独自技術開発で新プラットフォームへと移行していったが、元は共通の仕組みだったと説明する。

このほか提携のメリットとしてGoogleは、インスタントメッセージ(IM)の相互運用を挙げる。商用のIMサービスに互換性がないことはよく知られているが、2005年にMicrosoftとYahoo!はIMの相互運用を目指した提携を発表している。現在Googleが運用しているGoogle Talkはどちらとも互換性がなく、提携が将来的にYahoo! MessengerとGoogle Talkの相互運用につながり、利用者にとってのメリットになると述べている。

今回の提携に対する政府関連機関の判断については、「承認される可能性が高いと信じている」とコメントしている。2000年に米司法省(DOJ)と米連邦通信委員会(FTC)が発表したガイドラインにおける「競合において必要とされる提携については阻害されるべきではない」というコメントを引用し、これまで両機関によって同種の提携が阻害された事例は存在しないと主張する。承認が下りるまでYahoo!へのGoogle広告システムのインプリメントを保留状態にしているが、許可さえあればいつでも運用を開始できるという。