富士通の半導体子会社である富士通マイクロエレクトロニクス(FML)は11日、欧州の次世代放送規格で用いられるH.264によるHD解像度での放送に対応したHD放送受信用デジタルテレビ向けシステムLSI「MB86H70」を開発、2008年10月中旬よりサンプル出荷を開始すると発表した。サンプル価格は5,000円。
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HD放送受信用デジタルテレビ向けシステムLSI「MB86H70 |
同製品は、すでに同社が欧州向けに提供しているMPEG-2ならびにH.264の双方に対応したフルHD(1920ドット×1080ライン)マルチデコーダ「MB86H60」に、富士通研究所のアルゴリズムをもとにしたデジタルテレビ向け画像処理エンジンの機能を1チップ化したもの。
面内の輪郭部分とそれ以外の部分を区別し、輪郭部分はくっきりと強調させることで鮮鋭感を出し、それ以外の部分では目立つノイズを除去することが自動的に行える「ハイブリッド型フィルタ」を搭載している。
また、微妙な明るさの違いが求められるシーンや、明暗の違いの大きいシーンといったさまざまな映像シーンを最適な階調表現を自動的に選択することで再現し、幅広い映像表現を可能とする「アクティブ階調制御」、3次元の色空間を利用する独自方式を用いることによる、他の色に影響させることなくきめ細かい色調整ができる「リアル3Dカラー制御」などの機能が搭載されている。
さらに、メインCPUにARM1176JZF-Sを採用したことで、市場で流通するソフトウェアの流用をしやすくしているほか、テレテキスト、字幕、JPEGデコードなどさまざまなDVB(Digital Video Broadcasting)ソフトウェアスタックが同社より提供されるため、テレビセットメーカーはHD放送受信に必要なシステム設計を簡単に実現することが可能となるという。
