長年の下請けにより技術的には成熟

中国の国産アニメが抱える最大の問題、それはオリジナル作品が極端に少ないということである。国内市場は海外作品に大部分のシェアを食われ、国内市場の発展の余地がすでに制約されてしまっている。こういう問題がある上、どちらが原因かの判定は難しいが、「創造性の欠如」と「ビジネスモデルの立ち遅れ」が、問題の解決を一層困難なものにしているのだ。

中国の中小アニメメーカーを取り巻く経営環境は、どうみても楽観できないものだ。あまりにも多くの小企業が下請けに頼って経営を維持している。下請けだけに、安定収益を得る体制がなかなか確立できない。

加えて、規模が小さいので、海外から直接注文書を受け取るだけのリソースを備えていない。そのため、しばしば仲介する香港企業から注文書を回してもらうしかない。こうなれば、利益の大半は最初からこうした中間エージェントに奪われてしまう。

そうなると、残ったわずかな売上で会社を維持するのがやっと、ということになってしまう。それだけならいいが、彼らは国内の同業者との競争にも直面している。一方、政府側は、国をあげて起業を支援した新興企業が短時間で大量に破産するのを見たくないため、大手企業が中小企業を併合することすら望んでいる。

だが、長年にわたる下請けによる技術蓄積のおかげで、中国のアニメ企業は技術的には成熟している。要するに、最大のウイークポイントは先に挙げた「創造性の欠如」にある。

下請けの利益率は元々非常に低いが、国内の多くの企業はこのままでよいとは思っていない。しかし、オリジナルを創作するという領域に足を踏み入れる勇気も持てないでいる。

創意工夫が欠如する最大の原因は、単独で設計・開発に向かえば、成功の対価が大きい代わりに、失敗した場合のリスクも下請けとは比較にならないほど大きく、コストの回収がままならないからである。

さらに問題となっているのは、アニメ作品では制作コストとテレビ局の仕入れ価格の間にしばしば「逆ざや」の関係があることだ。中央電視台のアニメ作品の仕入れ価格は業界内では最高だが、それでも500元(約7,500円)/分でしかない。1分あたり1万元(約15万円)はかかるといわれる製作コストをはるかに下回っているのだ。ましてアニメ番組が地方テレビ局で放送される場合は、仕入れ価格が無料の場合さえある。