日本総研は、小売業とサービス業での生産性向上を図ることが、日本の所得水準引き上げに向けた重点課題だとするレポート「産業別国際比較からみたわが国の労働生産性低迷の要因分析」を発表した。

同レポートではまず、少子高齢化が本格化する状況下において、日本が経済成長力を維持・向上していくには、生産性の向上が必要と指摘。昨今は格差問題の対策として再分配政策への関心が高まっているが、再分配の原資となる国民所得を増やすためには、生産性の向上が不可欠という。

国際比較から、日本の第3次産業は生産性伸び率が低いのが通説とし、時系列視点を加えると、近年の日本の生産性低迷の主因は商業およびサービス業での停滞だと指摘。就業者シェアからみ見ても、商業およびサービス産業の生産性向上が重要課題と見ている。

一方、製造業では生産性上昇率が維持されているものの、低生産性分野の切り捨てによるところが大きく、過度なモノづくり依存は危険だという。

2000年代に入ってからの国内小売業の生産性低迷は、超低金利の継続と低賃金労働の拡大という環境の中で、出店規制の緩和を契機とする郊外での出店競争の激化が、過剰店舗や過剰雇用を生み出したことの反映だと指摘する。

金利および賃金体系の正常化と都市機能の集約化によって、小売業の生産性向上を促す一方で、欧米と比べ未発達な公共サービス産業の活性化策により、小売からサービス業への雇用シフトと生産性向上の同時達成が可能だとする。

また同レポートでは、事業関連サービス産業の生産性向上は企業組織の開放的自律型組織への転換を通じたホワイトカラー部門の生産性向上と同時達成されるべきものと指摘。そのためには企業が部署の壁、企業の壁を越えた情報共有、価値創造を促進するオフィス・ワークスタイルの創造と、自律型プロフェッショナル人材およびその統合、方向付けを行うプロデューサー型経営人材の育成に注力する必要があり、事業関連サービス産業にその啓蒙役・先導役となることを期待している。