前回、PC版『デビル メイ クライ 4』の「PC SETTINGS」で可能なセッティングのいくつかを紹介したが、今回はいよいよ肝とも言うべき「TURBO」と「LEGENDARY DARK KNIGHT」についてをチェックしてみたい。

ハイスペックなPCならさらに面白さが増すPC版の『デビル メイ クライ 4』

そもそも「TURBO」と「LEGENDARY DARK KNIGHT」は、PC版のみのゲームモードであり、Xbox 360版やプレイステーション 3版には搭載されていない。多数のキャラクターを各々のグラフィックスカードのスペックに合わせて表示(動かす)するという、完成品として販売され、すでにグラフィックス性能が決められている家庭用ゲーム機では難しいモードといってもよいかもしれない。

それでは「TURBO」から解説していこう。こちらのモードはゲームをクリアするなどの条件なしに、インストール終了時からすぐに楽しむことができる。内容は同じカプコンの『ストリートファイターII' TURBO』の名称からも想像できるように、自・敵キャラの動作スピードが1.2倍にアップされているモードだ。『ストリートファイターII' TURBO』をプレイしたときに感じた、キャラが思ったようにキビキビ動き、よりスリリングなバトルが楽しめるという興奮を覚えている筆者はかなりの期待を込めてプレイしてみたが、まずザコ敵との戦いにおいて、難易度がかなり上がるのに驚いた。

「TURBO」モードでプレイする場合は、「GAME OPTIONS」画面で「TURBO」を「ON」にする

敵に360度囲まれ、これを剣で蹴散らしていくという「デビル メイ クライ」シリーズのプレイスタイルでは、「TURBO」モードでプレイすると、四方八方に目配せが必要になるためとにかく忙しくなる。1対1のボスキャラ戦なら、スピードにさえ慣れてしまえば、放ってくる飛び道具系や突進系の技をローリングで回避して攻撃を加えるということも可能である。しかし、ザコ敵戦にように、ある意味、多勢に無勢な状況になると、連続して(しかも四方八方から)攻撃が繰り出されるため、速さ+手数にこちらの攻撃が全然追いつかないという状況もあった。自キャラもスピードアップしてしまうため、アビリティのコマンド入力がかなりシビアになってしまうのも、難しさを感じる大きな要因であろう。まあ、このあたりは『ストリートファイターII' TURBO』同様、慣れの問題として片付けることもできるのだが……。

というわけで、こちらが「TURBO」モードの画面。といいたいところだが、……スピードが速くなるだけで敵の数などは基本的に同じなので、画面自体は通常モードと変わらず。見た目はまったく同じである

さらに一言付け加えるなら、ゲーム全体のスピードが速くなったからといって、テンポがよくなったかといえば、決してそうではない。このあたりは想像の域であるが、そもそも本作を開発した段階では、通常のゲームスピードがベストという設定のもとで制作されているはずである。つまり、マシンパワーならびにプレイヤーにかかる負荷などを計算したうえで、プレイスピードは決められていると思われる。そうなると、「TURBO」によってゲームバランスがより良くなるというのでは、逆に首を捻らざるをえない。ゆえに「TURBO」は、あくまでも「お遊」であり「おまけ」程度に捉えておくのが賢明ではないだろうか。もちろん、ゲーム内容の骨子は変わらないので、『デビル メイ クライ 4』自体の楽しさが損なわれることは決してないので安心してほしい。

次は「LEGENDARY DARK KNIGHT」だが、これは予想以上に面白い。家庭用ゲーム機で遊びつくしたという人も、期待して損はないだろう。このモードは簡単にいえば、フィールドに敵が半端なく出現する。それはもう、プレイしている最中は数えていられないくらいの敵が、ワンサカと湧いて出てくるのだ。まさに"湧いてくる"という表現がピッタリである。それらの敵を倒さずにいるとネロ(もしくはダンテ)1人を囲む敵だけで部屋にギュウギュウ詰めという状況になってしまうのだ。倒しても倒しても、本当に、あとからあとから湧いて出てくるのである。

「LEGENDARY DARK KNIGHT」は、「MISSION MENU」で選択。「HUMAN」か「DEVIL HUNTER」をクリアすると、メニューに現れる

この大量に出てくる敵を連続攻撃でぶった斬る快感を味わえるのが、このモードのウリである。ちなみにこのモードは「HUMAN」か「DEVIL HUNTER」のどちらかをクリアすれば楽しめるようになる。つまり、ある程度のアビリティを習得しているはずなので、そのアビリティをフルに活用してコンボを叩き込む快感、いわゆる本作の最大の楽しい瞬間を長時間味わえるというイカしたモードなのである。いや、ホント気持ちいいですよ、このモードは。

さらに敵が多く出るということは、スタイリッシュポイントも稼ぐことができ、敵を倒すことによって体力回復が可能なグリーンオーブも出現しやすくなる。これにより、途中でかなりのダメージを受けても、敵を全滅させてみると体力がフルになっているということも珍しくないのだ。

とにかく敵がわらわらと湧いてくる「LEGENDARY DARK KNIGHT」。敵のレベルもかなり高めとなっており、歯ごたえはバツグンだ

しかし、思わぬ落とし穴もある。それは、「LEGENDARY DARK KNIGHT」では、ザコ敵はまだしもボスクラスの敵がとてつもない強さになっているところだ。筆者の体感では、おそらく「DANTE MUST DIE」と同クラスの難易度、いわゆるハード(「SON OF SPARDA」)のさらに上といった感じである。ということでMission2のラストとなるベリアル戦からして、かなりの難敵になっている。つまり、いつまでも腕を上げられずにいると、Mission2のベリアル戦から先に進めないということに……。逆にXbox 360やPS3版で、敵との戦いに消化不良を感じていた人や、「DANTE MUST DIE」をクリアできるくらいの腕前があれば、「LEGENDARY DARK KNIGHT」は最高に楽しめるモードとなるハズだ。

PCにある程度のスペックは必要となるが、ネロやダンテの妙技を思う存分敵に叩き込む……。その快感たるや脳汁ドバドバものである。これこそ、『デビル メイ クライ 4』の楽しさの真髄ともいってもよいかもしれない。PC版にも、Xbox 360やPS3版同様、やりこみモードとして「BLOODY PALACE」が用意されているが、ストーリーを楽しみつつ幾千の敵と戦っていくのは目的も達成感も、また違ったものが見えてくるはずだ。ということで、PC版『デビル メイ クライ 4』は、「LEGENDARY DARK KNIGHT」をプレイするためだけでも"買い"の一本だと思う。

ゲームタイトル デビル メイ クライ 4
対応機種 Windows PC (Vista / XP対応)
ジャンル スタイリッシュアクション
発売日 2008年7月24日 (発売中)
価格 7,340円
CEROレーティング C (15才以上対象)
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