センドメールは、メールサーバおよびメールボックス、メールセキュリティを仮想アプライアンスとして提供する「Sentrion MPV」を12月末から発売すると発表。また、メールセキュリティの統合プラットフォーム 「Sendmail Mailstream Manager」に、誤送信などによる情報漏えい防止する新機能を追加した。

Sentrion MPVは、ゲートウェイ管理のほか、スパム/ウイルス/マルウェアなどに対するインバウンドプロテクション、SenderID/DKIMへの受信側の認証および送信時のDKIM署名のほか、高精度のコンテンツ監視とポリシー適用による情報漏洩対策、MS Exchange環境の防御などのイントラネットにおけるメール監視など、ポリシーベースのメッセージ処理、ルーティングのための複雑な要件に対応するソリューションを統合した仮想アプライアンス。

Sentrio MPVの構成

統合されたメッセージプロセッシングエンジン

メール配送エンジンの「Mailstream Switch MTA」、セキュリティ管理の「Mailstream Manager」、送受信メールのトラフィック制御を行う「Mailstream Flow Control」、メールシステムに特化した高性能LDAPサーバの「Sendmail Directory」、メール隔離用サーバフィルタの「Mailcenter Quarantine」、SenderIDをはじめとする送信ドメイン認証の「Authentication」と、「Sentrion OS」といったソフトウェアコンポーネントを、MPE(Message Processing Engine)として統合。使いやすいGUIで管理することを可能とした。ハードウェアコストの低減と効率活用、消費電力を含む運用コスト削減といった仮想サーバのメリットをメッセージング環境にもたらすことができるほか、メールセキュリティソリューションの導入/運用が容易になるとしている。

また、1台の物理コンピュータ上に複数の仮想マシンを並列で動作させることができる仮想インフラにより、1ドメインに1つの仮想マシンを割り当てることで、導入/変更などがスムーズに行えるほか、事業部ごとに固有のドメインを持ち、ドメインごとに異なるメールポリシーを設定、運用している大企業や、グループ会社にも同様のメリットをもたらすという。

稼動環境は、VMware ESX バージョン3.0.2以降。価格は、オープンプライス。12月から受注活動を開始し、出荷開始は2009年1月末の予定。日立ソフトをはじめとする国内7社のパートナーを経由して販売される。センドメールでは、アプライアンス製品全体で、初年度3億5,000万円の販売を見込んでいる。価格はオープンプライス。

センドメール 小島國照社長

センドメールの小島國照社長は、「専業メーカーであるノウハウを生かすことで、どんなニーズもフォローアップできる。ポリシー違反を高精度で検知するとともに、All-in-oneアーキテクチャが実現する高いROI、高いスループットを実現するハイパフォーマンスなどが大きな特徴。また、キーを受け取ると、購入した機能をすぐに稼働させることができるほか、コンプライアンスアプリケーションの提供による短期間でのサービス開始が可能となっている。米国では、ブレード型のアプライアンス製品を投入しているが、日本では、まずは仮想アプライアンスとして提供する。仮想アプライアンスとすることで、オペレーションの効率化、低電力消費によるグリーンデータセンターとしてのメリットがある」とした。

一方、Mailstream Managerに新たに追加した「Document Fingerprinting(ドキュメント・フィンガープリンティング)」は、誤送信による情報漏えいをフィンガープリントで防ぐ機能。Mailstream Managerのオプションとして、2008年12月末から提供する予定。 Mailstream Managerは、企業内の文書の識別子として暗号化された文字列による「フィンガープリント」を自動生成し、ポリシーに従って、メール添付による送信を制御することが可能なメールセキュリティ統合プラットフォーム。メールゲートウェイからメールボックスまで、すべてのメールシステムを対象に、ウィルス対策、スパム対策、情報漏洩防止、誤送信防止やコンプライアンスのためのメールポリシー設定および実施を、WebベースのGUIで一元的に行える。企業内の既存のファイルサーバの中で保護対象となるファイルを指定することで、ファイルごとに特徴的な文字列を抽出したフィンガープリントを自動生成し、専用のデータベースに蓄積。メール添付で送られるファイルにフィンガープリントに一致するデータが含まれていると、設定したポリシーが適用されて送信中止などの処理が行われる。また、フィンガープリントは圧縮率が元のファイルの200分の1となることから、ファイルごとにキーワードを検索する従来方式に比べても、高速で検索することができるのが特徴。

Webベースによる管理のしやすさも特徴。(左)フィンガープリントのカテゴリ画面 (右)登録済みのドキュメント一覧

対象となる文書ファイルはMicrosoft Word、Excel、PowerPoint、テキストなど。ICAP(Internet Content Adaptation Protocol)インタフェースに新たに対応することで、SMTPによるメール送信だけでなく、Webメール、FTP経由での情報漏えいを防止も強化したという。

「カテゴリを作成し、ファイルをアップロードし、ポリシーを適用するという実行する前処理が簡単に行えるのが特徴といえる。データの圧縮率も手動ではあるが任意に設定できる」(小島社長)とした。

MailStream Managerによる情報漏えいの検知のしくみ

3ステップのレジストレーションで簡単に実行可能

また、小島社長は、センドメールの事業概況についても説明。「2008年1月に終了した最新年度では全世界で売上高が50%増となっているほか、今年2月 - 7月についても、前年同期比76%増という高い成長を遂げている。日本における明確な数値は発表していないが、新年度に入ってからも30数%増で推移している。スパムフィルタは、国内の主だったISPや、楽天、価格コム、サイボウズなどの主要ネット企業が採用している。だが、ここにきて、成長が著しいのがコンプライアンス関連分野。また、コストダウンのためにセンドメールを導入するという動きもある。昨年7月に、日本に製品開発センターを設置しており、これにより、日本のメール環境に適した技術を開発し、製品に反映している」などとした。