AT&T ジャパンは7日、ユーザー1人あたりの平均使用帯域が35Kbpsで、1万人規模の同時接続をサポートするWeb会議システム「AT&T Connect」を、日本国内で販売すると発表した。

グローバル展開では特にコミュニケーションが重要

「AT&T Connect」は、リアルタイムでの双方向コミュニケーションを実現するWeb会議システムだ。エンタープライズレベルとして1万人規模のイベントまで対応するほか、VoIP利用時で平均35Kbps、TDM利用時で平均5Kbpsという高い帯域効率を実現。音声による双方向会話はもちろん、ホワイトボード共有や参加者間のチャット、ビデオ会話、アプリケーションのリモート操作、各種資料の共有、Webツアー、多数決、音声データの保存なども行える。

取締役副社長 兼 営業統括本部長の岩澤利典氏

取締役副社長 兼 営業統括本部長の岩澤利典氏は、企業を取り巻く環境について「マルチナショナル化により、各国に活動拠点を持つ現代の企業は、日本国内だけでなく海外のパートナー企業とも連携をしながら企業活動を続けていく必要があります。こうしたグローバル展開では、特にコミュニケーションが重要な役割を果たすのです」と語る。組織のファンクショナル化やモバイルワーカーの出現、在宅勤務やSOHOの展開、オフショア活動なども、企業内のコミュニケーションを複雑にする要因だ。

活動拠点が分散すると、個別のコスト競争力や生産性は高まるが、同時に組織全体の意思決定が困難になってくる。そこで、いかに社内外の意思決定スピードを上げられるかという点で、コミュニケーションツールの充実が必須になるという。

企業のコミュニケーションを複雑化する要因

エンタープライズレベルに対応する「AT&T Connect」

ユニファイドコミュニケーション事業部 事業部長の上村譲氏

続いてAT&T Connectに関する詳細説明とデモを行ったユニファイドコミュニケーション事業部 事業部長の上村譲氏は「AT&T ConnectはネットワークやデスクトップPCといった既存のインフラを活かしながら、電子メールや電話などのコミュニケーションで欠けている部分を補うことができます。似たような製品は数多くありますが、エンタープライズレベルで使えるというのが最大の違いです」と語る。

特徴としては、まず社員の誰もが簡単に使えるという点が挙げられる。操作が容易な単一クライアント方式に加え、利便性を高めるアプリケーション統合、ビジネスフォンPBXとIPゲートウェイ装置の接続で電話機が音声デバイスとして使えるテレフォニー統合などを採用。また、エンタープライズ対応の観点からは、VoIP利用時で平均35Kbpsの高い帯域効率や1万人規模の同時接続のほか、分散サーバによる拡張性、サーバダウン時に会議が中断しないサーバの冗長化が重要な役割を果たす。

さらに、会議イベント作成時に個別設定ができる128bit SSL暗号化通信、社外ともポート80と443のみで全機能が利用可能、クライアント側やサーバ側に情報を残さず資料配布ができるなど、セキュリティ面も万全となっている。「こうした部分がカバーできてこそ、エンタープライズレベルで全社統一して使用できるコミュニケーションツールといえるのです」(上村氏)

「Video」および「Audio&Webカンファレンス」部分をカバーする位置付けの「AT&T Connect」

6種類のイベントモードと専用会議室を用意

具体的な機能としては、1つのシステムに6種類のイベントモードを用意。遠隔地間の面接に使用する「iメンタリング」(通常2人/最大100人)、遠隔会議や打ち合わせに最適な「iミーティング」(最大300人)、遠隔トレーニングや教育向けの「iクラス」(最大300人)、遠隔でのセミナーやトレーニング用の「iセミナー」(最大1500人)、大規模なセミナーや全社イベントに使う「iキャスト」(最大1万人)、これら5種類のイベント記録をオンデマンド再生できる「オンデマンド」(最大4000人)など、用途や規模に応じて選択することができる。

右上に参加者リストが表示された「AT&T Connect」の会議画面。参加者が発声中の場合だけ静止画から動画に切り替わることで、ネットワーク負荷を軽減している

簡単な意思伝達に適したチャット機能

アプリケーションはすべてのモードで共通のため、どれか1つを経験すれば新たに操作方法を覚えることなく他のイベントに簡単に参加可能だ。なお、日常の会議や打ち合わせなどでは少人数参加の会議イベントが数多く開かれることになるが、同時接続数が1万人以下であれば会議室の数は無制限。イベント内に電話機とヘッドセットのユーザーが混在している環境でも問題はない。

賛成や反対など、ユーザーの意思をアイコンで表示することも可能

CADや開発中のソフトウェアなどを含む、各種アプリケーションが表示可能。プレゼンターが権限を委任することで、参加者によるアプリケーションの遠隔操作も行える

そのほか、すべてのユーザーに予約不要の専用会議室「マイ会議室」が用意されているのも特徴。スケジュール調整や会議室の作成操作をすることなく、自分の会議室に入室するだけで手軽に会議が始められる。さらに、マイ会議室には固定の会議室番号が割り当てられているため、この会議室番号を名刺やメールの署名に記載することで、他のユーザーが簡単に参加できる仕組みも採用されている。

Webツアーとホワイトボード機能の連携

ビデオ映像とチャットを除き、会議中の記録を行うことができる

AT&T Connectは現在世界で約300万人、約750社が使用。今後はH.264などをサポートした、より高画質な製品も検討しているという。ライセンス体系については年間利用料タイプのサブスクリプションと、買い取りタイプのパーペチュアルライセンスを用意。いずれもオンサイトとASPサービスの両方が選択でき、目安としてはパーペチュアルライセンスの100ユーザー利用時で1人あたり5万円からとなっている。