Act.1 - 最後の物語は壮大なスケールで

『MGS4』はシリーズの完結編であり、最後の物語であるとされている。おおざっぱなストーリーは、スネークが因縁の相手であるリキッドを倒すために追いかけるというもの。『MGS4』が、シリーズではじめてプレイするタイトルである場合には、この点に注目して話を追っていれば、大筋を見失うことはないはずだ。そして、このストーリーが複数の章に分けて描かれており、章によって戦いの舞台が変化。結果としてさまざまな国、場所に潜入することになる。とにかく今回のスネークは、リキッドを追っていろんな場所に潜り込む。最初は中東の戦場、その後は基地だったり、森だったり、島だったり……。最初で追い詰めちゃったら続かないので、当然リキッドにはその都度逃げられてしまう。はたして、最後はどこでどう決着をつけるのか……? その目で、その耳で、その指で、ぜひぜひぜひぜひ確かめてみてほしい。シリーズを知っていれば知っているほど鳥肌の立つ展開が目白押しとなっている。

さて、この章立てで進む物語だが、章の冒頭にはこれから始まるミッションの説明となるブリーフィングが挿入されている。このときも「メタルギア ソリッド」らしくいろいろな小ネタが仕込まれていたりする。その代表として「メタルギアMk .II」という小型のメカを動かせるというのがあって、こいつであちこち動き回ると、ここでしか入手できないアイテムを発見できたり、PCのモニタに映るニヤリとしてしまう壁紙とかがのぞけたりもする。とにかく何にでも好奇心をもってプレイする、それがこの「ゲーム」を楽しむコツといってよいだろう。

画面右上のカメラが「メタルギアMk .II」視点の操作画面。ブリーフィング中にいろいろと探索してみるとおもしろい。また、殺傷人数やホフクで歩いた時間などさまざまな情報もチェックできるぞ

『MGS4』でスネークが追っている男がこのリキッド。とても味のあるキャラクターで、悪役ながらもその強烈なインパクトによってファンも非常に多い。しかし、渋い……渋すぎる

Act.2 - 隠れますか? 戦いますか?

アクション面の基本的なシステムなどはこれまでのシリーズを踏襲しているといってよいだろう。その一方で、戦場が舞台となったり、武器を購入できるショップが利用できたりすることで、「潜入する」という点については、プレイヤーにゆだねられるシーンが多くなっている。つまり、「潜入」と「戦闘」が並列に用意されているのだ。これには先にも述べたとおり、リキッドを追うという物語も大きく関わっている。というのも、スネークが追っているリキッドは、本作では戦争を請け負う民間の会社を牛耳り、戦争経済の根幹である戦闘を支配しようとしているのだ。そのためリキッドを追うスネークは否応なく「戦場」に「潜入」という一見矛盾した状況に身を置くことになるため、「戦う」のか「隠れる」のかはプレイヤー次第ということになるのだ。

それに伴い、武器の種類がグッと増えていたり、カスタムが可能だったりと、戦闘面のシステムが充実しており、それこそFPSのようなプレイも可能といえば可能である。とはいえ、隠れてこそのスネーク! という原理主義的な筆者は、やはり敵に見つからないようにプレイすることをオススメしたい。難易度が細かく用意されているので、難易度を低く設定すれば、アクションが苦手な人でも、緊張感を維持しながら難しすぎない状況を作り出せるので、安心して隠れんぼプレイに挑戦できるだろう。なお、潜入アイテムとして、シリーズ経験者にはおなじみの「ダンボール」ももちろん健在。さらに「ドラム缶」を使えば、隠れつつ戦場をゴロゴロゴロと転がることもできるのだ! ……ってまぁ目立つうえに転がりすぎるとスネークが酔って○○を吐くというおまけつき。こんなバカバカしい部分の作り込みがステキであり、ファンにとっては堪らないところなのだ。

オクトカムという特殊なスーツは、表面が周りの風景と同化するよう変化してくれる。こんな風に壁にはりつけば敵に発見されにくい色に。隠れんぼにはうってつけの最新装備ってやつですね!

ステルス機能搭載の「メタルギアMk .II」は遠隔操作で偵察などもできる。そして、その操作をするスネークの手元にご注目。こういった遊び心にファンはぐっと来るのである

Act.3 - 見る楽しみ、動かす楽しみ

『MGS4』は物語を動かす役割として、章の冒頭のブリーフィングを始めとし、多くのムービーが挿入される。ムービーと言えば普通はただ見ているだけなのだが、本作は違う。先ほどのブリーフィングの話でも出たが、もうそれこそ限りなくネタが仕込まれており、とにかく目が離せないのだ。

ムービー中、画面右上に「○」ボタンの表示がでたらフラッシュバックの合図。今見ている場面に関係のあるスネークの記憶をかいま見れる。また、画面左上に「L1」ボタンの表示がでたときは、スネークの主観視点に変更できる。これに切り替えないと見えないものもたくさんあるのだ。ちなみに、この2つの操作は、ボタンの表示が出ていないときでも可能なことがある。ムービー中、怪しいと思う場面ではとにかくボタンを押してみるといいだろう。たとえば、スネークの行動になにかエロスの匂いを感じたときなどに「L1」ボタンを押すと……。

ムービー中のフラッシュバックや視点切り替えは、画面にガイドが出なくても可能な場面も。ナオミが出てくるムービーでは、スネークの行動に注目してボタンを押すといいかも!?

とにかく、ムービーであってムービーでない。物語にググッと引きつけられたかと思うと、とんでもない方向から笑いを誘われるなど、さまざまな顔を持つ本作のムービーは、実に奥が深いのだ。

(次ページに続く)