元TeraGoogleアーキテクトなどが設立したスタートアップが新検索エンジン「Cuil」を公開した。1200億を超えるWebページをインデックス化した膨大なデータを、内容に基づいて関連性を判断する独自メソッドで整理し、ユーザーが素早く目的の情報にたどり着ける検索結果を提供する。

共同設立者でCuilのCEOであるTom Costello氏は99年に検索エンジン「Xift」を開発し、その後IBMでWebFoundationのプロトタイプ開発やStorage Systems Strategyの戦略開発に従事した。共同設立者で社長のAnna Patterson氏は2004年にGoogleに入社し、同社の検索インデックス「TeraGoogle」のアーキテクトを務めた。もう1人の共同設立者であるRussel Power氏もGoogleに2年間在籍しており、TeraGoogleの開発やスパム検出プロジェクトに参加していた。またArnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事のスポークスマンだったVince Sollitto氏が広報を担当しているなど、ユニークな経歴を持つマネージメントメンバーが揃っている。

入力提案機能をオンにしておくと、検索クエリ候補のプルダウンメニューが表示される。Appleを入力すると、トップに米AppleのURLが並び、検索ボックスから直接Appleのサイトを訪れられる

Webページに含まれる意味や検索クエリの意図などを検索結果に反映させるために、Cuilでは今日の検索エンジンの多くで用いられているリンク分析やトラフィックランキングではなく、Webページの内容分析から関連性を判断する。その上で似かよった内容の検索結果をグループ化している。Costello氏は「Cuilは人気ではなく、コンテンツを基にした結果を検索者に提示することで、広大で多様なWebから本質に迫る答えを描き出す」と説明する。

検索結果では主なグループがタブで表示され、ユーザーはタブをクリックするだけで検索結果をグループごとに絞り込める。例えば「iPhone」を検索すると、「All Results (全ての結果)」のほか、「Apple iPhone」「Free iPhone」「New iPhone」「more...」などのテーマ別のタブが並ぶ。more...をクリックすると「iPhone Video」「Unlock iPhone」「Cisco iPhone」などがプルダウンメニューで表示される。さらに検索結果の右上部にカテゴリ・リストが配置されており、iPhoneを検索した場合では[GSM Standard]から[MMS]というように、検索リサーチを関連カテゴリに広げられる。検索結果は上から下に並ぶのではなく、最小限のスクロールで結果全体を眺められるようにコラム式レイアウトが採用されている。内容、テーマやカテゴリごとの分類や見やすい結果表示を、Cuilは"マガジン"スタイルと表現している。

マガジンスタイルのCuil検索結果。上部にタブ、右上に関連カテゴリが配置されている

Cuilは1200億ページのインデックスデータを「他の検索エンジンの3倍以上の規模」と説明する。また個人を特定するような情報を一切収集しないプライバシー重視の姿勢もアピールしている。同サービスでは好ましくない画像や内容が検索結果から自動的に外されるSafe Searchがデフォルト設定でオンになっている。