情報処理推進機構(IPA) オープンソフトウェア・センター センター長 田代秀一氏

情報処理推進機構(IPA)は7月28日、情報基盤強化税制で新たに減税対象となったSOA(Service Oriented Architecture)関連製品について、IPAが技術評価を済ませた3製品を発表した。この3製品を購入した企業は、基準取得価格(取得価額の70%)に対して、10%の税額控除または50%の特別償却適用を受けることができる。

今回、IPAから認定を受けた3製品は、日立製作所の「uCosminexus Service Platform」(バージョン07-60)、日本オラクルの「Oracle SOA SuiteおよびOracle Application Server」(バージョン10.1.3)、NECの「WebOTX Enterprise Service Bus V7.1」(バージョン7.1)。同日付で、「連携プログラム技術評価制度」に基づいた「連携プログラム技術評価書」が公開された。

平成18年から開始された情報基盤強化税制は、平成20年度の税制改正で、2年間の延長が決められており、その際に、(1) 取得価額要件の引き下げ、(2) 「部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェア」の追加、(3) SaaS・ASP事業者が適用対象となることを明確化、(4) 資本金10億円超の企業について取得価額上限を設定といった制度の拡充が行われた。

今回の発表は、このうちの(2)「部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェア」について、税制の適用対象となる製品をIPAが評価したもの。従来から適用対象となっている、OS(OSがインストールされたサーバ・ハードウェア)、DBMS(DBMSを利用するアプリケーション)、ファイアフォールについては、ISO/IEC 15408に基づいて評価・認証された製品が条件であるが、改正で追加された連携ソフトウェア製品については、IPAが行う技術評価書が必要になる。

戦略的IT投資を促進するための施策の概念図

技術評価は、今年4月から実施されており、年度内に3回程度の認定書の公表を行う予定という。製品に必要な技術要件としては、JIS X0027(メッセージ形式)、JIS X 4159(XML 1.0)、JIS X 5731-8(公開鍵認証)の機能を持ち、各システム間でメッセージを送受信、記録できることなど。

これら技術要件は「SOA対応」をうたう製品のほとんどに適合するものとも言え、申請数、技術評価数は増加することが見込まれる。IPAでは、原則として、申請から45日以内に技術評価を行い、結果を公表するとしている。また、評価はバージョンごとに行われ、後継バージョンについては、再評価や追評価を行うという。

一方、経済産業省では、今年7月に「産業競争力のための情報基盤強化税制のパンフレット」および「産業競争力のための情報基盤強化税制のFAQ集」を作成し、税制の適用範囲や条件の参考例などを紹介している。FAQ集には、例えば、連携ソフトウェアには自社開発製品が含まれないことや、連携ソフトウェアを利用するクライアントソフトは適用対象外になることが、以下のようなかたちで記載されている。

【質問】ある企業(A社)がSCM強化のために、SOAP仕様に基づいて企業間連携ツールを開発し、取引相手企業(B社)に配布した場合において、この配布したソフトウェアはA社の資産なので、A社の対象ソフトウェアとしてよろしいですか。

【回答】本税制の対象となる連携ソフトウェアは、独立行政法人情報処理推進機構による技術上の評価を受けたものであり、当該評価の対象は、プログラム製品又は複数のプログラム製品の組み合わせとして構成されたものです。したがって、 本ケースのような自社開発品は本税制の対象となりません。

【質問】連携ソフトウェアについてクライアント用ソフトウェアは本税制の適用対象になるのでしょうか。

【回答】連携ソフトウェアの定義は、租税特別措置法施行規則第20条の5の2第1項第3号(所得税については、同令第5条の11第1項第3号)で「情報処理システムから指令を受けて、当該情報処理システム以外の情報処理システムに指令を行うソフトウェア」とされており、主にサーバー用ソフトウェアとして使用されるものに限られています。したがって、クライアント用ソフトウェアは本税制の対 象となりません。

これらは、IPAや経済産業省のWebサイトで閲覧が可能になっている。