Serial Attached SCSI (SAS) の基本(2)

エンタープライズの拡張性:エクスパンダのゾーニング

SASはそれ自体が数千個単位のサーバおよびストレージ・デバイスに対応できる能力を有しているが、現実の実務を考えると数百のデバイスで作業をする場合ですら、仮想サーバ環境で複数のホストで運用できるように、ストレージ・デバイスもしくはサブシステムを一貫した法則で割り当て、あるいは「ゾーン分け」する必要がある。多様な動作ドメインを共用ストレージプールに割り当てるこの能力は「エクスパンダのゾーニング」という機能で実現される。

新しいインタフェース機能はしばしば「ベンダ固有」として市場に導入されるが、それがもし十分に受け入れられれば、最終的には標準規格への道を歩むことになる。"エスクパンダのゾーニング"についても、SASがこれらのずっと複雑なトポロジを有効にサポートする能力を高めるために、同様な道を辿った。いろいろなベンダに一貫したやり方を用いることで、ゾーニングはSAS-2技術仕様の中で標準化されたのだ。ストレージ・ドメインを割り当てて保護するメカニズムは、第1世代の実装を超えて改善され、サポートされるゾーンの数も256と倍増することとなった。

オート・ディスカバリを行うエクスパンダ

大量のディスクドライブを活用するために必要不可欠なもう1つの要素は、これらの大規模なストレージのプールを迅速に見出しコンフィギュレーションする技術だ。ストレージ容量の奔放な、そしてしばしば予見できない成長は、ストレージの構成方法に対して、スケール・オン・デマンド、すなわち随時拡張ができる柔軟性を要求するようになっている。

今日、SASはインターネット駆動型のトポロジをサポートしており、それは「コンテンツ・デポ」として機能し、信じ難い量の非定形のコンテンツを保存している。初期のSAS導入は主としてパラレルSCSIの代替技術という目標を持っており、従って、しばしば比較的大規模なドライブのコンフィギュレーションを初期化する効率的手段を欠いていた。

SASトポロジによるディスカバリ・プロセスの多くをホストからエクスパンダへと移し、テーブルからテーブルへの柔軟なルーティング方式の追加機能を備えることにより、6Gb/sのSASはSASメッセージのトラフィックを劇的に減らす能力を持つこととなる。

従って、これらのシステムを初期化する時間を短縮している。この改善された能率により、システム設計者はこうした多層化ストレージ・ソリューションを発掘し、初期化し、サポートすることはもちろん、さらに弱まることを知らぬ容量拡大ニーズに対して拡張するための能力を持つことができるようになる。

エラー管理の向上

複雑性の高いエンタープライズ・ストレージ環境を扱う際には、エラーの扱いと管理がストレージシステムの高可用性と高信頼性の実現のために不可欠だ。わずかな変更と改善だが、エラー管理の方法を明確化し、向上し、より一貫性のあるものにするために、初期のSAS文書の数カ所に変更を加えた。

エンタープライズ環境のストレージ・ソリューションにおいては、あらゆる業務サービスに影響を与えるシステム障害は許されず、こうしたSASの改善はエンタープライズに適した堅牢なソリューションを提供しなければいけない、という要求は昨今の業界の成熟度を反映するものである。