親や教師の目を盗める点が人気の理由

ネットを利用する場所を見ると、自宅が最も多く、青少年ネットユーザーの57.2%に達している。2位のネットカフェ (網※)は47.8%、3位が学校(14.5%)、4位は勤務先(9.9%)となっている。

※は口の右に巴

青少年ユーザー全体の半分近くがネットカフェでインターネットにアクセスするという状況の背景には、3つの原因が考えられる。

第一に、ネット上で映画をみたり、オンラインゲームをプレーしたりすることの多い青少年にとっては、親や教師、同級生の目が届かないネットカフェのほうが自宅や学校より便利で、安全であること。

第二に、自宅や学校でネットにアクセスできるとしても、時間制限をかけられてしまうため、思う存分楽しめないこと。第三に、自宅や学校、勤務先ではインターネット環境が必ずしも完備されていないことが挙げられる。

また、1人当たりの平均オンライン時間をみると、青少年ネットユーザー全体では週12.7時間で、ネットユーザー全体の週16.2時間よりは少ない。だが、社会人の青少年ネットユーザーの1人当たり平均オンライン時間は週20.8時間で、全青少年ネットユーザー、全ネットユーザーにおける平均時間より高い。こうした状況から、社会人の青少年ネットユーザーこそが、中国において最も活発なネットユーザーであることがわかる。

コミュニケーションと娯楽が主な利用目的

ネット利用の目的別でみた青少年によるインターネット利用割合は、以下の通りである。

順位 目的 青少年の利用率 ユーザー全体での利用率 ユーザー全体との利用率差
1 リアルタイム通信 91.3% 81.4% 9.9pt
2 音楽鑑賞・ダウンロード 91.1% 86.6% 4.5pt
3 映画やビデオの視聴・ダウンロード 82.9% 76.9% 6.0pt
4 検索 73.4% 72.4% 1.0pt
5 オンラインゲーム 68.2% 59.3% 8.9pt
6 ニュース視聴 63.4% 73.6% -10.2pt
7 eメール 58.0% 56.5% 1.5pt
8 ブログやSNS 33.0% 23.5% 9.5pt
9 ネットショッピング 22.2% 22.1% 0.1pt
10 eラーニング 18.0% 16.6% 1.4pt
11 行政手続 17.0% 25.4% -8.4pt
12 ネット決済 13.8% 15.8% -2.0pt
13 ネットバンキング 13.6% 19.2% -5.6pt
14 求職活動 12.1% 10.4% 1.7pt
15 株取引 7.2% 18.2% -11.0pt

上の表から、中国の青少年によるネット利用の特徴がわかる。

第一に、ネットをコミュニケーションのツールとして利用する傾向が強いことだ。1位のリアルタイム通信の利用率は91.3%に達しており、ネットユーザー全体より10ポイントも高い。7位のeメールの利用率はネットユーザー全体とほぼ同じとなっているが、第8位のブログやSNSの利用率では青少年のほうが高い。

第二に、娯楽傾向が強いことだ。2位の音楽鑑賞・ダウンロード、3位の映画やビデオの視聴・ダウンロード、第4位のオンラインゲームの利用率が、ともにユーザー全体より高い。特に、オンラインゲームの利用率ではユーザー全体より9ポイントも高くなっている。

第三に、娯楽目的の利用率とは対照的に、実用目的の利用率が低いという特徴が挙げられよう。株取引、行政手続、ネットバンキング、ネット決済などにおいて、青少年の利用率はネットユーザー全体とかなりの差が付いている。

第四に、中国の青少年ユーザーは、概してニュースに対する関心が低いようだ。ニュース視聴の利用率で、ネットユーザー全体に10ポイントもの大差が付いている。

第五に、意外にもeラーニングの利用率が2割も達していないことである。学校や自宅での勉学環境整備の一環として設置されたという側面も強いインターネット。だが、勉学よりコミュニケーションや娯楽目的で主に使われているという現実を、保護者や教師たちはどう受け止めるのだろうか。