日本総研は、内部統制の整備活動状況について上場企業3,932社を対象にアンケート調査を行い、結果を公表した。アンケートは、今年の4月に実施され、463社から有効回答を得た。

日本版SOX法への対応を全て自社で進めているのは全体の1割強にとどまり、9割弱が会計監査法人とのアドバイザリー契約など外部機関の支援を受けている。自社で実施基準を解釈し適応することが困難だったことがその原因と、日本総研は見ている。

外部機関の利用状況

売上/売掛金/棚卸資産以外の勘定科目における業務プロセスの選択状況を見ると、購買に伴う関連プロセスは58.9%が選択しており、以下、固定資産勘定科目の関連プロセス(52.9%)、人件費等勘定科目の関連プロセス(45.1%)が続く。これらの業務プロセスの選定については設定した会社の3-4割が会計監査人のアドバイスを受けており、いわゆる質的重要性の基準を採用し、自社独自で評価の対象範囲とする判断が困難だったことの現れだという。

売上・売掛金および棚卸資産以外の勘定科目に関する業務プロセスの選択状況

具体的な対応がわかりにくい項目では、全社的内部統制評価結果を業務プロセスの範囲設定に反映させる手順と判断(46.4%)と、ITの全般統制の評価結果を業務プロセスの統制に反映させる手続(46.0%)を挙げる企業がほぼ同数であり、基準で示されている全社的内部統制の42の評価項目が期待する統制の具体的な内容の記述方法と評価手続(44.1%)が続く。

具体的な対応がわかりにくい項目

実施基準の解釈や適応での各社の状況に応じて対応できる柔軟性が、具体的な実務にあたって戸惑いや混乱を招きやすい要因になっていると日本総研は指摘する。

日本総研は今回のアンケート結果を受け、内部統制の整備においては質的重要性の採用など、具体的な判断基準や有効と判断できる一定の整備水準などが曖昧なままであるとし、今後の評価段階では個々の統制の評価を積み上げていくボトムアップ的な取り組みではなく、内部統制評価での自社の基準を確立させ会社として重要な欠陥となりやすいリスクの高い分野から優先的に評価し、整備を進めるトップダウンリスクアプローチへと視点を変えることが必要だと提唱している。