米Microsoftは7月23日(現地時間)、同社プラットフォーム&サービス部門(PSD)を「Windows / Windows Live」と「Online Services」の2部門に分割する計画を発表した。またPSD統括プレジデントのKevin Johnson氏は同社を離れる予定で、両新部門はMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏の直下に置かれることになる。MicrosoftによるYahoo!買収騒動にみられるように、同部門は将来のMicrosoftの命運を握る鍵ともいえる存在。その部門の分割とトップ退任は、今後のビジネスにどのような影響をもたらすのだろうか。

Johnson氏は、エンターテイメント&デバイス部門のRobbie Bach氏、ビジネス部門のStephen Elop氏と並ぶ部門統括プレジデントの1人。Johnson氏は2005年に現職に就任し、PSD統括としてWindowsプラットフォーム並びにMSNやWindows Liveに代表されるオンラインサービス群のディレクションを担当してきた。オンラインビジネスに活路を見出すGoogle等の他のライバルとは異なり、Microsoftならではともいえる「ソフトウェア+サービス」戦略の中心ともいえる存在だ。同社が1月に米Yahoo!に対して1株あたり31ドルでの買収提案を行った際、その計画立案者の1人として深く動向に関わっていた人物でもある。新人事は同日をもって実行され、Johnson氏の後任にはPSDのシニアバイスプレジデントらが就任する見込みで、分割された2部門のトップとしてBallmer氏の直下に配属される。なお経済紙の米Wall Street Journal(オンライン版)の同日付けの報道によれば、Johnson氏はMicrosoft退職後にネットワーク機器ベンダーの米Juniper Networksの経営に参加する見込みだという。

新部門の1つである「Windows / Windows Live」は、現在シニアバイスプレジデントのSteven Sinofsky氏、Jon DeVaan氏、Bill Veghte氏らが率いることになる。Windows Vistaや次期バージョンの"Windows 7"、そしてInternet Explorer、Windows Liveの各サービス群なども同部門の管轄となる。もう一方の新部門である「Online Services Business」のトップはまだ未定の状態で、社内外を問わずに適任者の選定に入っているとMicrosoftでは説明する。同部門は検索ビジネスのほか、MSN、広告プラットフォームなどをカバー範囲とする。5月に発表されたばかりのキャッシュバック付き検索サービスも同部門の管轄だ。

今後の影響については未知数だが、Microsoftとしてはオンラインサービス部門を明確に分けることでビジネスのてこ入れを狙っていることが考えられる。特にYahoo!経営陣と投資家のCarl Icahn氏の和解が成立したことでYahoo!買収観測がやや遠のき、至急のビジネス立て直しを図るMicrosoftとしては、Yahoo!買収以外の選択肢を本格的に模索し、第3者との提携や自力での再建など、あらゆる可能性を探る必要が出てきている。ある意味で、Microsoftのオンラインビジネスにかける本気度を量るバロメーターのようなものかもしれない。