ネットワンシステムズは15日、プライベートショウ「NET ONE SOLUTION STREAM 2008」を開催し、今後の事業戦略に関する説明を行った。

ネットワンシステムズ 代表取締役社長 吉野孝行氏

同社は、今年で創立20周年を迎える。今年度の大きなテーマは「Change!」で、社内的には時代背景を踏まえて日常の業務への取り組み方を示した6つのテーマを掲げている。これらのテーマに共通していることは、「継続して成長と顧客満足度の向上」(同社 代表取締役社長 吉野孝行氏)であり、そのためには分掌責任や連携強化による"プロセスの変革"、物販からサービスビジネスへの転換による"ビジネスモデル変革継続"、経営における透明性などを実現する"オペレーションの変革"の3つが必要になるとした。

こうした取り組みにより、「技術に対する評価を基に発展することを目指し、情報通信産業市場で付加価値技術および品質面で差別化を有する企業へと成長を遂げ、社会基盤としてのネットワークを主軸として社会に貢献する企業となる」(同)ことが将来的な姿であるという。

具体的にはどうするか。同社としては「ネットワーク技術を核として、"ユニファイドコミュニケーション"と"Net One Cloud Computing Concept"のもと、ネットワークコンピューティングプラットフォームを提供していく」(同)ことで、こうした姿を目指すという。特にクラウドコンピューティングに関しては、「日本市場に合わせて欧米の成功事例を照らし合わせ、カスタマイズして提供していくことが最終的な姿」(同)であるという。

"Net One Cloud Computing Concept"は、クラウドコンピューティング基盤に必要な物理層からネットワーク層、サーバ/ストレージ層、管理ミドル・ハイパーバイザ層、OS層といった要素を一貫してインテグレーション、運用管理サービスをセキュリティ管理やサーバ/ストレージ管理、音声管理など各層のイベントを一貫して運用管理する「エキスパート・オペレーション・センター(XOC)」を通じて提供するというもの。各層の構成製品を拡充するのはもちろんだが、単品の販売ではなく、プロビジョニングすることにより、顧客の要望に沿ったプラットフォームを提供することが可能だ。

「Net One Cloud Computing Concept」の概要

こうした取り組みの一環として、同社は6月5日に米3teraと、3teraの提供するクラウドコンピューティングの環境を構築することが可能な商用グリッドOS「AppLogic」の国内販売における独占販売代理店契約を締結し、同日より販売を開始した。

AppLogicは、同OSをインストールした汎用のIAサーバを、イーサネットスイッチで接続することにより、その上にCPU、メモリ、ストレージ、帯域のリソースプールを作成し、ハードウェアやソフトウェアなど、Webアプリケーションに必要な要素を提供する仮想データセンタを構築することが可能となる。

これによりWebサーバやデータベース、ストレージなどの各要素を仮想アプライアンスとして扱うことができるようになり、Webアプリケーションの稼働環境をオンラインで構築することが可能となる。

「AppLogic」の操作画面(アイコンを操作することで、各仮想アプライアンスの設置と接続、リソースの割り当てを行う)

3teraのChairman and CEOであるBarry X Lynn氏

また、構築したアプリケーションシステムのコード、データ、OS、ミドルウェアといったすべての要素はカプセル化することが可能で、コピーやバックアップを簡単な操作で行えるようになるほか、アプリケーションの規模の拡張や縮小を柔軟に行うことができるようになる。

3teraのChairman and CEOであるBarry X Lynn氏は、同OSによりもたらされるクラウド(プライベートクラウド)で実現する機能として、

  • 過大なプロビジョニングなしで企業のデータセンタを従量課金型ユーティリティ基盤へ
  • 社外のクラウド(パブリッククラウド)と企業のデータセンタ/サイトオペレーション室の接続によりWebベースサービスのキャパシティプランニングが可能に
  • 複数のデータセンタにまたがりリソーズの動的分配が可能となることによる災害対策/事業継続

の3点を挙げており、「クラウドコンピューティングを通じてITのサービスは再利用などが可能となり、Webはコミュニケーションツールからサービスデリバリインフラへと変貌する。3teraではそうした状況において、グローバルに業務のスケールに応じてサービスを変更することができるツールを提供する」(同)としている。

また、同会場においてエクシードは、同0Sを用いたホスティングサービス「myDC」を2008年8月1日より販売を開始すると発表した。

myDCは、基本構成が4台からなるサーバ上に"AppLogic"を搭載することで、カスタマに仮想のデータセンタ空間を提供するというもの。これにより、カスタマが1カ月以上を要し行っていたサーバの設計から機器の調達と構築といった一連の作業が数時間以内で行えるようになるとしている。

適用分野としては、内部アプリケーションやサーバを同じ構成で何台も用いている携帯コンテンツ配信事業やゲーム・アニメ製作事業などを想定しており、年内には基本構成で100セット以上のサービス提供を目標とするとしている。