長野県長野市の茶臼山動物園では、4月中旬にやってきた2頭の仔グマ(ツキノワグマ)を一般公開中。次第に園内の生活に慣れてきた仔グマは、木の上で昼寝をする微笑ましい姿を見せるなど、人気を呼んでいる。

リンゴをもらって手で持ち上げるミヤ

姉妹と思われるメスの2頭の仔グマは、それぞれ"テツ"、"ミヤ"と命名。男の子のような名前の"テツ"は、活発で遊び好き。「けんかをしかけるのもテツのほうが比較的多いような気がします」(同動物園飼育員)というが、寂しがり屋さんという一面も。一方の"ミヤ"は、自由気ままな性格で1頭だけでも平気で遊んでいる様子だとか。「好奇心旺盛でいろんな遊びをし、時にはテツにじゃれられて迷惑そう(?)ですよ。テツに比べたら、どちらかというと丸く見え、女の子のようなおっとりした面も見せています」(同飼育員)という。

入園から約2カ月が経過した現在、2頭は離乳も順調に進み、朝と夕方、夜以外はリンゴや煮干し、パンなど様々なものを自分たちで食べ始めている。一般公開の時間も12:00~15:30と徐々に延ばし始めた。「公開当時は寝泊りしている動物病院へすぐに帰りたがり、クマ舎で寝ることはありませんでしたが、6月に入るとクマ舎の木の上で昼寝をするまで慣れてきた様子で、来園者にも寝ている姿が好評のようです」(同飼育員)。そんなテツとミヤ目当てに来園するお客様もいるほど。一般公開されているクマ舎の前に何10分もいて、活発に動き回る彼女たちを見入っている方もいるという。

茶臼山動物園に初めてやってきた日のテツ

クマ舎内で桜の実を夢中になって食べるテツ(写真右)とミヤ

近年、人間との軋轢が問題となっているツキノワグマは、絶滅が懸念されている動物でもある。「日本にはこのような大型の動物が長年生活していることを知り、人との軋轢が減ってこれら大型の野生動物が持続的に生活していけるように野生動物と人との距離が近づき過ぎないためにも一人一人が考えるきっかけになって欲しいです」(同飼育員)。 ツキノワグマと人間の共存は大きな課題だ。だが、テツとミヤを見ていると、人間に被害をもたらすツキノワグマとは思えないほど可愛らしい。「テツとミヤは実に動きが活発で、幸い2頭で動物園にやってきましたのでじゃれあっている姿が本当に可愛いですよ。愛らしい姿はもちろん、じゃれあっている時に見せる力強い動きを、大人の熊に例えてご覧になって頂きたいですね」(同飼育員)。ツキノワグマの本当の姿を知る意味でも、一度来園してみてはどうだろう。