6月2日、東京大学においてT2Kオープンスパコン東大版の運用が開始され、記念式典とスパコンの見学会が催された。

T2Kオープンスパコン東大版の運用開始式典で挨拶する東大情報基盤センターの米澤センター長

T2Kは、筑波大、東大、京大の3大学の頭文字を並べた命名で、この3大学の計算センターマシンの更新時期が一致したことから、3大学が協力して、どのような構成にするかを検討し、共通仕様を作成して調達を行ったスパコンである。

この東大のシステムは、2.3GHzクロックの4コアOpteronを4個搭載する計算ノードを使い、合計952ノードをMyrinet 10Gインターコネクトで接続したシステムである。システム全体のピーク計算性能は140TFlopsに達し、東工大のTSUBAMEシステムを抜いて、現時点では国内最大規模のシステムである。

標準的な市販部品であるOpteronをCPUとして使い、OSもLinuxで、研究室に設置されたPCクラスタを大型にしたというイメージであり、説明会に訪れる人も、従来、スパコンを使っていなかったユーザが60%程度を占めるとのことであり、このT2Kスパコンで科学技術計算のリソースが飛躍的に拡大するだけでなく、新たなユーザを取り込むことができると期待されている。

この東大のシステムのLINPACK性能は、82.98TFlopsと発表された。これは、システム構成の関係で、952ノードの内の768ノードだけを使用して計測した結果であり、ピーク性能値に対して73.4%の性能を達成している。

T2Kオープンスパコン東大版のLINPACK性能について説明する石川教授

この性能は、昨年11月に発表されたTop500のランキングでは9位と10位の間に位置する性能であるが、来る6月18日に発表される予定の次回のTop500ではベスト10入りは難しいと思われる。そして式典の終了後、計算センターの見学会が行われた。

日立製の計算ノード筐体が並ぶT2Kオープンスパコンシステム(一部)

この一つのロッカーに16個の計算ノードが収容されており、全体では、このようなロッカーが約60本並んでいる。そして、これらの計算ノードは、壁際にずらりと並んだ51KWの空調ユニットで冷却されている。