ソニーは26日、南アフリカ共和国のNPO法人SAPESI(South Africa Primary Education Support Initiative)と『南アフリカ図書館車プロジェクト』の支援について合意したことを発表した。同社ではこのプロジェクトに対して、運営資金を寄付すると共に、英語圏のソニーグループ6社の社員から提供された中古児童書を寄贈する。

『南アフリカ図書館車プロジェクト』は、南アフリカ教育省が推進する識字力向上計画の一環として、2005年から同省とSAPESIが共同で主催しているもの。在南アフリカ日本大使館の草の根無償資金と日本外交協会の協力を得て、日本で中古図書館車を収集し南アフリカへ送るという活動を行っている。寄贈された図書館車は南アフリカ各州の教育庁が運行し、各地を廻って図書室のない小学校・中学校で学生および教員に対して本の貸し出しが行われる。

図書館車の本を手に取る児童達

現在同国の初等教育における就学率は87%を越えているものの、図書室が設置されている学校は全体の5%以下だという。SAPESIの活動により、2007年は19台の図書館車で年間455校を訪問。今年はこれを35台に増やし、年間訪問校も約900校に拡大する予定だ。

ソニーCSR部 冨田秀実統括部長は、このプロジェクトについて「これまでも、ソニー・オーストラリアの社員から集めた中古児童図書を2005年より毎年寄贈しておりました。今後は、南アフリカの子どもたちの教育促進の一助となれるよう、ソニーはグループをあげてこのプロジェクトを支援してまいります」と述べている。

またSAPESI代表の蓮沼忠氏は、「子どもたちが様々な本に触れることができるほか、図書館車同乗の司書が多くの教員たちに授業などでの図書の活用方法を教え、教育の質の向上に役立てています」とコメントしたうえで、同プロジェクトについて今後より多くの企業からの賛同を得られることに期待を寄せた。

南アフリカでは、11ある公用語のうち、英語とアフリカーンス語(オランダ語派生語)以外の9言語は主に口頭で伝承されている現地語となっている。特に現地語の図書が大変不足していることから、言語が衰退することも懸念されているという。SAPESIでは、ソニーからの寄付金を現地語で書かれた図書の購入費用にも充てることで、同プロジェクトを通じてこれらの言語維持にも務めたいとしている。