ここ数カ月、未成年者のネット利用におけるフィルタリングが業界や保護者の間で問題になっていたが、決定的な対応策がとられない中で迎えた新学期。業界・行政を巻き込んだ議論が今も続くが、教員をはじめとした学校関係者はそんなことより先に、突然火がついた「学校裏サイト」問題で否応なく当事者の立場に立たされた。他人事とは思っていられない、4月のネット事件簿を振り返る。

2008年4月のネット事件簿 Top10(4/1~4/30※)

順位 記事 掲載日
1位 【レポート】想像を超えた"ネットいじめ"の世界に絶句… - 学校裏サイト対策講座が実施 4/30
2位 「プロフで中傷された」自称17歳男、中学生を金属バットで殴打 - 千葉 4/23
3位 韓国でも止まらない個人情報流出 - 大手通信会社が顧客情報を無断で…… 4/28
4位 「学校裏サイト」でついに訴訟、中傷で退学の女性が慰謝料請求 - 茨城 4/22
5位 生徒の相談で「学校裏サイト」の削除依頼、教諭も被害に - 横浜市 4/17
6位 【レポート】韓国「Auction」ハッキング事件の余波 - 大統領府サイトの被害も判明 4/28
7位 "大麻の種"ネット売買が横行…でも栽培は違法 - 大麻取締法違反が増加 4/18
8位 "なりすましメール"で元同級生を「暴行する」と脅迫した高校生を逮捕 4/8
9位 個人情報の流出件数"1,000万件以上" - 韓国オークションサイト「Auction」 4/21
10位 こんどは北海道で「小中高生ころす」の書き込み - 児童ら集団下校の事態に 4/9

※ 各記事の掲載日から1週間のアクセス数をもとにしています。

名前が独り歩きぎみ? 「学校裏サイト」の現実とは

4月のネット事件関連記事で断トツトップのアクセスを集めたのは、全国webカウンセリング協議会が実施した「ネットいじめ対応アドバイザー資格認定講座」のレポート記事。講義の内容は、なりすましメールを使ったいじめやプロフを温床にする援助交際の事例、また学校裏サイトの検索方法についてなどで、実際にスレッド削除依頼の"実技練習"も行われた。参加者の多くは現役の教員で、「現実がこれほどのものとは思わなかった」といった声も聞かれたという。

「学校裏サイト」についてはテレビや新聞でも関連した報道が連日行われており、今回の講習会では参加申し込みが定員を大きく上回ったことからも、学校裏サイトに対する関心が高まっていることが明らかだ。当サイトでも"学校裏サイト"タグの記事が高いPV数を記録する傾向が見られた。

今の"いい大人"世代では多少なりともいじめの加害者/被害者の経験を持っている人のほうが多いのではないだろうか。そうした経験からか、ソーシャルブックマークのコメントでは「いじめはなくならない」という発言がある一方、メールや掲示板といったツールによって編み出されたいじめの"手口"に対しては、その巧妙さ、陰湿さに驚きあきれる声も多い。

今回開催された講座は資格認定のための学習を目的としたもの。講座に参加できなかった人も、同じ内容をテキストで学習し、資格認定を受けることができる。しかし3万8,000件以上とされる「学校裏サイト」の現状からすると、個々の資格取得者による対処には限界もあるだろう。もう資格なんぞにこだわらず、同協議会や文部省主導で学校ごとに全生徒・保護者を集めて一斉講習会を実施するくらいの構えがあっても良いのでは、とも思う。が、それはそれでまた新たな問題が発生してしまうのだろうか。

情報は"漏れるもの"だと思っておいたほうがいいかも

韓国での大規模な個人情報流出事件が注目を集めた。オークションサイトへのハッキングにより会員情報が流出するという事件が起こったのは今年2月。その内容が同サイトの会員1,800万人のうち、半数を超える1,000万件以上もの情報が流出するという大規模なものであったことが明らかになった。これに対して警察に情報開示申請を行ったり、集団訴訟を起こそうとするなど、ユーザーグループの動きが活発化しているとのことだ。

ネット関連企業での個人情報大量流出というと、日本ではYahoo! BB(約451万人)やDION(約400万人)の両ISPの事例が思い出されるが、これはその規模の2倍以上ということになる。そもそも、人口約5,000万人の韓国で1,800万IDというサービスの存在自体が驚愕なのだが、システム的に複数IDの保有が可能なのかどうか不明なため、情報が流出した1,000万という数字がネットユーザーの中でどの程度の割合なのか正確にはわからないものの、かなりの数字であることは確かだろう。

日本においては最近情報流出に関する報道を見かけない気がするが、それはその他の様々なネット関連事件が目立っているためだ。探してみれば毎日のように何かしらニュースになっている。「個人情報」という単語にやたら敏感になってしまった今の日本で大規模な情報流出が起きたら、やはり集団訴訟などの動きに発展するのだろうか。金券500円で事が収められてしまったあの頃は、まだ平和だったのかもしれない。