Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは19日、拡大する中部地域の自動車向け半導体ビジネスに対応するべく、2005年に開設した「名古屋品質・テストセンター(NQAT:Nagoya Quality And Test Center)」の移転を行ったことを発表した。

移転は、これまでNQATが設置されていた豊通物流敷地内から、同敷地内の別の場所に移す形で行われた。移転に伴い、NQATの敷地面積は2倍となり、また、人員も2倍に増強された。

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン オートモーティブ セールス&マーケティング本部 ジェネラルマネージャー 林章氏

同社は、さまざまな自動車向けアプリケーションに向け、アナログ半導体、センサ、マイコンなど幅広い製品を提供しているが、特に中部地域では、「セーフティ」「ボディコントロール」「パワートレイン」の3つを重点領域として事業を展開してきた。

セーフティでは、エアバッグ関連ビジネスが好調で、「2005年からの3年間で売り上げは約2倍の成長を遂げている」(フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン オートモーティブ セールス&マーケティング本部 ジェネラルマネージャー 林章氏)。また、ボディコントロールは、モータコントロール分野の成長が顕著なほか、リレーやスイッチを1チップで置き換え、スイッチボックスやハーネスの軽量化を実現する半導体スイッチなどが最近伸びてきているという。パワートレインでは、共通アーキテクチャとしてPower Architectureを採用した32ビットマイコンに、タイミング制御用コプロセッサ「enhanced Time Processing Unit(eTPU)」などの自動車向けに特化した機能を搭載することで成長を果たしているという。

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン 代表取締役社長 高橋恒雄氏

NQATは、これまでセーフティ関連およびボディコントロール関連で使用される同社のアナログ半導体製品の解析を中心にサポートが行われてきた。「中部地域における当社の車載ビジネスの売り上げは、2005年からの3年間で約3倍に拡大した」(同社 代表取締役社長 高橋恒雄氏)であり、今回の移転による機能強化は拡大する中部地域でのビジネスに対するサポート体制の強化といえる。

具体的には、既存の設備に加え、新たに同社のミクスドシグナルプロセス「SMARTMOS5」に続く高集積プロセス「SMARTMOS8」をサポートするための検査装置が導入された。SMARTMOSはアナログ、パワーデバイスおよびロジックを統合したCMOSプロセスで、SMARTMOS8は0.25μmプロセスを採用しているほか、Medium Voltage (MV)で65V対応、200MHz駆動、メタル配線4層、10万ゲートのロジック回路などの特長を持つ。また、マイコンの初期の不良解析を検証する設備も導入されている。

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン 技術本部 本部長 友部昭夫氏

こうした機能強化により、「2時間で不具合解析を行い、2日で不良解析を、そして2週間で原因の解明ならびに対策を行うという"2-2-2戦略"の内、最初の2つの部分が強化されたこととなる」(同社 技術本部 本部長 友部昭夫氏)という。

また、同社では19日付けで「オートモーティブ・コンピタンス・センター(ACC)」を開設したことも併せて発表した。

ACCは、電子化が進む自動車の機能安全に対するニーズの高まりへの対応、および電子化に伴うソフトウェアの開発コストの増加を防ぐ標準化に向け、同社の製品および技術を基に、グローバルスタンダードに準拠したリファレンスプラットフォームの開発/実装/評価/検証を行う技術拠点で、顧客とともにプラットフォームの最適化を行っていく。

2008年度の活動内容としては、シャシーやセーフティのアプリケーションを対象に、PowerArchitecture 32ビット デュアルコアマイコンをベースとした、機能安全(IEC-61508 SIL3/ISO-26262)準拠の車載ネットワークなどのグローバルスタンダードに準拠したリファレンスプラットフォームの開発などを行うほか、CMM Level-3のAUTOSAR準拠のソフトウェアの実装/評価/検証が行われる計画だ。

オートモーティブ・コンピタンス・センター開設の背景