運転手もリモコンも必要なし、そんな車がJavaOneの会場に登場した。Team Jeffersonによって作られた「Tommy Jr.」はJava制御によって走る車で、電子地図を入力するだけで自動でルートを探索し、GPSや各種センサーを利用して目的地まで走行できる。Uターンやラインに合わせての駐車、パッシングなども可能だという。近未来の、と呼ぶには少々武骨だが、パビリオンでもひときわ大きな目立つ展示物となったTommy Jr.は多くの人目を集めていた。

これぞホンモノの無人カー!? Tommy Jr.のお値段は約200万ドルなり

続いて、アリゾナ州立大学のPhil Christensen博士が火星探査用に開発されたJavaアプリケーション「JMARS」のデモンストレーションを行った。JMARSはNASAが取得した火星の地表に関するさまざまなデータを可視化、あらゆる角度から分析することができ、NASAでも火星探査ローバーが安全に行動できる場所の探索にJMARSを利用しているという。しかもJMARSのプログラムは一般に公開されており、実際にダウンロードして使ってみることができる。JavaがNASAによる火星探査プロジェクトに貢献していることは以前よりGosling氏が語っていたが、その技術は日々進歩しており、それを自分の手で触ってみることができるというのは非常に興味深い。

火星でがんばるMars Roverを支援するJMARSのデモ。刻々と変化する火星の様子を見ることができる

CERN(欧州原子核研究機構)は世界最大規模の素粒子物理学の研究所であり、HTMLやHTTP、WWWの発祥の地として知られている。壇上に上がったDerek Mathieson氏によれば、同研究所ではさまざまなプロジェクトでJavaを最大限に活用しているという。たとえばCERNには円周27kmの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)や毎秒2ペタバイトまで記録可能な巨大アトラス検出器が設置されているが、その制御やデータの3DモデリングにもJavaが利用されているという。またGrigPPなどの大規模グリッドコンピューティングプロジェクトなどでもJavaが活躍していると同氏は語っている。

あのCERNでも、あちこちでJavaが利用されている

Gosling氏のセッションでは毎年思いもかけない場所でのJavaの活躍に驚かされる。すでに生活の中に広く浸透してきたJavaではあるが、こうして常に新しい分野を切り開いている様を目の当たりにすると、今後も何か面白い展開を見せてくれるのではないかと心踊らされる。