東京・新宿のロフトプラスワンにて4月27日、『無限の住人』アニメ化記念イベント「浅野道場復興会 歌舞伎町決起集会」が開催された。それに先立ち、原作の沙村広明氏、真下耕一監督、脚本の川崎ヒロユキ氏が会見を行った。

『無限の住人』は「月刊アフタヌーン」(講談社刊)にて連載中の剣劇アクション漫画。江戸時代を舞台に、不死身の体を持つ主人公・万次の物語が描かれる。キャラクター設定や時代考証など、それまでの時代劇作品とは一線を画した内容で、1993年の連載開始から15年以上経ったいまも人気となっている。

まさにファン待望のアニメ化。この日のイベントのために130枚のチケットが用意されたが、2日足らずで完売。その人気のほどを改めて知らされた
(C)2008沙村広明・講談社/浅野道場復興会

今回のアニメ化について半信半疑だったという、原作の沙村氏。「『無限の住人』の映像化については、これまで何度も立ち消えになってきたので、だんだん麻痺してきていました(笑)」というほど。それが実現されたことについて「川崎さんの脚本などが上がるにつれて、本当にアニメ化するんだと思いました。いまは本当にありがたいです」と喜びを語った。実際に映像を見た感想について「エロい(笑)」とひと言。これから作品を見る人へ「思い入れの部分で、こうしてほしかったというのがあると思います。そういった細かい部分にこだわったので、楽しんでください」と、メッセージを送った。

真下監督は『無限の住人』を手掛けることについて「古典的な時代劇ではなく、エネルギッシュなパワーを持った作品。非常にまれなチャンスで、奇跡のような巡り合わせでした」と興奮気味に話した。これまで『ツバサ・クロニクル』など、様々な作品を手掛けてきた真下監督だが、時代劇作品は本作が初めて。それだけに思い入れも大きいようだ。血を見る展開も多い原作の表現方法について、「アクションはやりすぎたかなというぐらいです。それより登場人物が持つ沙村先生の遺伝子を、どう表現するかが一番難しい」と語った。そして「登場人物たちは屈折していますが、彼らも人間です。そんなキャラクターたちに一番注目してほしい」としている。

昨年の6月ごろに真下監督から声が掛かったという川崎氏。脚本作業について、「原作のなかにある膨大な量の情報を短期間で体に入れるのが、これまでで一番大変でした」と苦労を語った。キャラクターの個性をポイントに挙げ、「15年以上前にあったことをもう1度再確認し、個々のキャラクターの上書き作業をやりました。読者の方には『そうそう。こうだった』と思ってもらえるようにしたかった」と話す。「なかなか原作どおりには出せないですが(笑)、できるだけ近い形でお見せしようという意気込みでやりました。期待してください」と、脚本に込めた思いを披露した。

左より原作の沙村広明氏、真下耕一監督、脚本の川崎ヒロユキ氏。「AT-Xさんにかなり許してもらった」(真下監督)という、原作に劣らない過激な剣劇描写にも注目

その後行われたイベントは、130人以上のファンで会場は超満員。沙村氏、真下監督、川崎氏のほか、万次役・関智一氏と浅野凜役・佐藤利奈さんも飛び入り参加し、アニメ化の苦労やアフレコ現場の様子など、多彩な話題で盛り上がった。そしてファン代表として登場したのは、お笑い芸人のダイノジ。「エアギター『無限の住人』バージョン」を披露し、会場を盛り上げてくれた。また会場ではトークだけでなく、なんとアニメ第1話、第2話を一挙に上映するという太っ腹な内容。誰もがその出来映えに見入っていた。3時間に及んだ盛りだくさんのイベントは、ファンにはたまらない濃密な時間となった。

本日のイベントを皮切りに、大阪、名古屋、東京にて、沙村氏、真下監督、川崎氏らが出演しての先行試写会を予定。参加はハガキでの応募となり、締切は6月6日。応募先などの詳細は、公式サイトで確認してもらいたい。

あらすじ
逸刀流統主・天津影久に両親を惨殺された少女・凜。彼女が頼ったのは、秘薬「血仙蟲(けっせんちゅう)」を体に埋め込み不死身となった男・万次だった。いきさつを聞かされた万次は凜に力を貸すことを決め、仇討ちの旅へと一緒に出ていくことになる……。

アニメ放映は、AT-Xにて7月13日24時より開始予定。隔週日曜放送で、翌週土日・翌々週土曜にはリピート放映(変更の場合あり)も行われる。

試写会日程

「浅野道場復興会 大阪大会」 6月29日(日)
時間: 13時開場 / 13時30分開演
場所: オークホール(大阪市港区弁天1-2-40RC200・2番街西館6階)

「浅野道場復興会 名古屋大会」 6月29日(日)
時間: 18時30分開場 / 19時開演
会場: アートピアホール(名古屋市中区栄3-18-1ナディアパーク内)

「浅野道場復興会 東京大会」 7月6日(日)
時間: 17時30分開場 / 18時開演
会場: 講談社 本館6階講堂 (東京都文京区音羽2-11-21)