不登校やひきこもりなど、子どもに関するさまざまな相談を受け付ける全国webカウンセリング協議会は26日、27日の両日、「ネットいじめ対応アドバイザー資格認定講座」の初講座を実施した。午前、午後の計4回開かれ、学校裏サイトの見つけ方や、嫌がらせを目的としたなりすましメールの受信拒否の方法などを教員らに指南。全国から受講希望者が殺到し、ネットいじめへの関心の高さがあらためて明らかになった。

ネットいじめに対応できる大人が圧倒的に不足

学校裏サイトは、児童や生徒が管理する学校関連のブログや掲示板で、本人が掲載を望まない画像や誹謗中傷が掲示されるなど、"ネットいじめ"の温床になっていると言われている。文部科学省が今年1月から3月に実施した調査では、全国に約3万8,000件の裏サイトが見つかった。また、本人になりすましてプロフィールサイト(プロフ)を立ち上げ、なりすまされた本人が、あたかも援助交際しているかのように見せかける悪質ないじめも数多く出てきている。

携帯を片手に持って熱い講義を始めた、全国webカウンセリング協議会理事長の安川雅史氏

全国webカウンセリング協議会では、教育現場などでこうしたいじめに対応できる人材を育成するため、「ネットいじめ対応アドバイザー資格認定講座」を4月から開講することにした。だが、講習会には全国から教員ら200人以上の受講希望者が殺到。計4回の各講習会の定員は25人だったため、100人以上が受講できない事態となり、ネットいじめへの関心の高さが明らかとなった。

「なりすましメール」でカップルが破局に

講習会では、まず、同協議会理事長の安川雅史氏が、児童・生徒における携帯利用の実態について説明した。安川氏によると、多くの子どもたちは、家庭の食事時間内にも「右手ではし、左手で携帯」というような状態になるほどメールにはまっており、その原因は返信は3分以内に行わなければならないという「3分ルール」にあるという。しかも、返信の際は「お休み」の後に必ず「ところで、明日の5時間目何の授業だったっけ?」など、相手の返信を促す言葉を必ず付け足すようになっており、メール交換が「エンドレス」になる傾向にあるという。

さらに安川氏によると、「なりすましメール」の被害も深刻だ。悪用する人がいると差し障りがあるのでサイト名は伏せるが、携帯の某サイトを使えば、簡単に他人になりすまして携帯メールが送れる。これを使って、例えば、学校で仲の良いカップルに嫌がらせをするために、カップルの女子の方を装って男子に「あんたなんかと付き合ってて損した」、男子を装って女子に「お前最近うざい、もう付き合いたくない」などといったなりすましメールを送ることで、カップルを崩壊に導くといった例もある。

また、クラス内の一人の子をいじめるために、連絡網などで得たクラス全員分のアドレスを使い、あたかもクラス全員からその子になりすましメールを一人の生徒が送ったケースもあるという。この場合は、クラスの全員から「うざい」と言われたと思い込んだ子が、怖くて学校に行けなくなった。

安川氏はこうした事態を避けるため、「携帯電話の機能に『なりすましメールを拒否する』という設定があるので、ぜひこの機能を自分で設定するとともに、この方法を児童や生徒に教えてほしい」と参加者に強く要請した。