ノンビリしたオートフォーカス

オートフォーカスは体感的に一般のコンパクトカメラより遅いくらいに感じた。動作も「ジージッ、ジージジジッ」と迷うことが多く、意図しない場所にピントが合ったことも何度かあった。むしろマニュアルフォーカスのほうがストレスは少ないかもしれない。「MFダイヤル」は使いやすい位置にあるし、ピント合わせしやすいように拡大表示もできる。そういう意味では、反射的なスナップ撮影ではなく、じっくり構えて撮影するお散歩カメラだともいえる。AF測距モードについては、最短撮影距離まで寄れる30cm~∞の「FULLモード」と、50cm~∞(人と山のマーク)の2種類で、マクロモードは備えていない。

AF関連で気になったのは、AFフレーム変更がメニューの中にあることだ。フレームのどこにピントを合わせるかはやはり譲れない問題なので、その都度メニューを開かないと操作できないのはつらいと思う。

オートフォーカスの速さを測定した
DP1 / HI(2640×1760)+Fine / 16.6mm(28mm相当) / マニュアル(F4、1/60秒) / ISO 100 / WB:オート

体感では遅く感じたが、数値ではそこそこの速さ。また、EV1の明るさではほとんど合わなかった。AFポイントは中央のみ使用

RAWだとノイズも少ない

一眼レフなどほかのカメラに比べて、撮像素子の異なるDP1はノイズの出方もずいぶん違うようだ。普通は感度を上げていくと次第にざらつきが発生し、同時にコントラストが低下して、最高感度近くで赤や青の色ノイズが発生するという具合。しかしDP1は、感度を上げてもあまりざらつきが発生せず、コントラストの低下もごくわずかだった。色ノイズも独特で、グリーンやマゼンタのまだらな色が発生する。

順に見ていくと、ISO 200ではわずかにグリーンが乗る程度でノイズらしきものは見えず、ISO 400になるとグリーンが目立ってきて、コントラストも低下。ISO 800ではマゼンタやグリーンのまだらがキツくなる、というところ。撮像感度をオートにするとISO 200までしか上がらないというのは妥当なセッティングだと思う。

念のためRAWでのノイズもチェックしてみた。するとJPEG撮影とはずいぶん違うのに驚いた。まず、グリーンやマゼンタのまだらノイズがほとんどなく、若干ざらつきが現れる程度に抑えられてしまう。ISO 400まではコントラストの低下も見られない。ISO 800になるとざらつきが強くなるが、例のグリーンのまだらも無縁のままだった。RAWで撮影するなら、ISO 400まで常用しても大丈夫だろう。

JPEGとRAWの両方でノイズの発生をチェックした。中央がISO 100/JPEG、右がISO 100/RAW
DP1 / HI(2640×1760)+Fine or RAW / 16.6mm(28mm相当) / プログラムAE(F4) / WB:オート

左:ISO 200/JPEG、中央:ISO 200/RAW、右:ISO 400/JPEG

左:ISO 400/RAW、中央:ISO 800/JPEG、右:ISO 800/RAW

一眼レフ並みの解像力

DP1の解像力はとてもいい評価のようだ。チャートを撮影してみたところ、1500TV本弱といったところだった。部分的には2,000TV本近くでも解像しているのだが、限界近くでは干渉皺のようなムラが発生するのが残念。それでもコンパクトカメラはもちろん、下手な一眼レフよりも解像感は高いと思う。これがDP1の真骨頂なのだろう。

RAWでも試してみたが、やはりこちらのほうがきれいに解像する。解像能力そのものはあまり変わらないが、よりクリアでシャープな像になる。カメラ内とソフトでの処理方法が違うのだろう。ちょっとユニークだ。

また、付属ソフトのSPPを使うとより大きな画像として出力できる。「標準」や「中(最適)」で出力すると、DP1で撮影するJPEGの最大サイズと同じ2640×1760ピクセルだが、Windows版の「大(最大出力)」で4573×3048ピクセル、Macintosh版の「2倍」では5280×3520ピクセルが出力される。標準よりも少し像は緩くなるが、標準サイズのものをPhotoshopなどで拡大するよりもシャープ感がある。大きく引き伸ばす場合は有効だろう。

Windows版SPPの画像出力メニュー。「大」では4573×3048ピクセルになる

こちらはMacintosh版。「出力画像のサイズ」で大きさを選択する

解像力チャート。左:JPEGで撮影、中央:RAWからWindowsで出力(中:最適)、右:RAWからMacintoshで出力(標準)
DP1 / HI(2640×1760)+Fine or RAW / 16.6mm(28mm相当) / 絞り優先AE(F4、1/20秒) / ISO 100 / WB:オート

左:RAWからWindowsで出力(大:最大出力)、中央:RAWからMacintoshで出力(2倍)。右はRAWで撮影した作例。DP1の解像力がよくわかる
DP1 / RAW / 16.6mm(28mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/200秒) / ISO 100 / WB:晴れ / 撮影:川上卓也