アルプス社は24日、"魚眼レンズ"のように地図を表示できるデジタルマップ「Fish-Eye」の無料提供を開始したと発表した。同社の次世代地図サービス実験サイト「ALPSLAB(アルプスラボ)」上で公開される。縮尺の異なる地域を一つの地図画面上で、道路や線路などの空間の連続性を保ったまま、魚眼レンズのように見ることが可能になるという。

「Fish-Eye」による地図表示例

アルプス社は、2007年10月から名古屋大学大学院 工学研究科の高橋直久・片山喜章研究室と、電子地図の新たな表示方法について共同研究を行っており、「Fish-Eye」はその研究成果を活用した。

従来の電子地図では、虫眼鏡のように拡大表示する技術や、画面を分割して縮尺の違う地図を同時に表示する技術などで、「広域」と「詳細」を表示させていたが、道路や線路などの連続性が失われ、経路などをたどる場合などに分かりづらい表示となっていた。

これを解決する手段として、単純な魚眼レンズのように中心からの距離に応じて縮尺を段階的に変化させて地図を表示する技術が開発されていたが、ゆがみのため正確な位置把握が難しいなどの難点があった。

Fish-Eyeでは、縮尺率が異なる注目地域(フォーカス)とその周辺地域(コンテキスト)の二つの領域間に「グルー」と呼ばれる領域を導入し、地域間のゆがみを吸収する技術を採用。「広域を見ながら目的地周辺の詳細を見る」ことを可能にした。

同社では同技術について、「携帯電話のように、画面が小さく地図の表示範囲が狭いツールで有効と考えている」と話しており、今後もALPSLAB上での評価試験を重ねながら、実用化に向けて共同研究をさらに進めるとしている。