――ところで、このようなゲームを作ろうとお考えになったのには、どのような背景があったのでしょう?

「昨今、親子のコミュニケーション不足が叫ばれる中で、親と子が一緒に遊べるファミリー・ゲームを世の中に出したいと考えたからです」

――最近の子どもさんは、家の中でひとりでテレビゲームなどをして過ごすことが多くなったとも聞きますね。ゲームは1日何時間まで、と制限なさっているご家庭もあるようですが……。

「ですから、このような商品を創り出すことによって、例えば、親御さんが問題を読んであげて子どもたちがカードを取る、というような形で、遊びを通してコミュニケーションが増えればいいなと思っています」

――すると、ユーザー層としては、やはり……。

「ご家族の方たちをターゲットとして企画しました」

――親子のコミュニケーション・ツールとして役立つといいですね。もちろん、子どもさん同士でも遊べるような工夫もなさっているわけですね。

「はい。問題にも、絵札カードの裏のデータにも、説明書にも、印刷されているすべての漢字には読み仮名をふっています」

『カルタキュー都道府県編』。実際の大きさは手の平サイズ

――そういえば、そうですね。ところで、従来からあるカードゲームと比べても、トランプはジョーカーを入れて53枚、いろはガルタが48枚ですから、47都道府県のカードというのは、枚数からいっても、手軽に遊ぶのにちょうどいいですね。モチーフを都道府県にしようというのは、どのあたりから思いつかれたのでしょう?

「都道府県なら誰にでも親しみやすいテーマなので、興味をもってもらえるのではないかと選びました」

――とりわけ現在では、地元の人だけが知っているような知識を問う検定ばやりのご時勢でもありますね。

「そういった知識も活用して楽しんでいただけるよう、新しいゲーム性を採り入れたつもりです」

――先ほどお話いただいた役もそうですが、カードにはいろいろなデータが盛り込まれていますから、工夫次第で、もっと遊びの幅を広げていくこともできそうですね。

「わたくしどもで考えたルールに関しましては、すべて説明書に一覧を掲載しているのですが、例えば日本海に面した都道府県で新しい役を設定するとか、独自にルールを作って遊んでいただくこともできると思います」

――そういった役のアイデアというのは、どのあたりで思いつかれたのでしょう?

「実は、当初わたしのアイデアには、役という概念は含まれていませんでした。社内で商品化に向けて検討を進めていく中で生まれたものです」

――問題をお考えになるのも、大変だったのではないでしょうか。47都道府県かける5問ですから、総問題数は……。

「いえ、問題によっては、複数の問題カードで重複しているものもありますから、単純な掛け算にはなりません。問題自体は、各部署と協力してみんなで考えました。その段階では、問題はもっとたくさん用意していたんです」

――そこから絞り込んで各都道府県に5問ずつとなさったわけですね。

「さらに各都道府県の問題の振り分けのバランスも考えなくてはならず、一種のパズルのようでしたね」

――中には、地元の人しか知らないような問題も含まれているようですが……。

「各都道府県の出身者に知恵を借りた部分もあります。なるべくバラエティに富んだ内容をコンパクトな商品に収めるよう配慮しました」

――ほかに、開発途上で注意を払われたことなどはありますか?

「とにかく、お子さんに遊んでいただくものなので、誤った情報が入り込まないよう気をつけました」

――なるほど。

「ほかには、問題の中に出てくる呼称などは、あくまで公共のものだけを使用し、商品名などを不用意に使ってしまわないようにしています」