ここ数年、『産学連携』あるいは『産学官連携』による産業振興が注目を浴びている。これは、『学』(大学などの研究機関)がもっている技術や知識を『産』(民間企業など)の製品開発などに生かし、産業の活性化を図ろうというものである。

これを推進するために、平成10年5月には「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」(TLO法)が制定された。また国立大学の独立行政法人化といった背景もあり、いまや全国各地で産学連携が行われている。文部科学省発表の調査報告「平成18年度 大学等における産学連携等実施状況について」によれば、平成18年度に国公私立大学などにおける民間企業などとの共同研究件数は1万4,757件にものぼる。

その一方で、産学連携による成果が少なすぎるとの声もある。埼玉県産学官交流プラザの会員で埼玉大学教授である大滝英征氏は「産学(官)連携は、"大企業"と"中小企業"で分けて考えなければならない。特に中小企業の場合は、ほとんど成果が出ていないのが現状。うまくいっているのは、ほんの一部だけ。」という。つまり、ただ闇雲に連携しても成果は出ないのだ。

それでは、成果を出すためにはどうしたら良いのだろうか。産学官連携功労者表彰で内閣総理大臣賞を受賞するなど、高い評価と実績のある大見忠弘氏(東北大学名誉教授)に、その"秘訣"を聞いた。

東北大学の大見忠弘名誉教授 - 半導体製造に必要な「スーパークリーンルーム」を実現した日本の半導体研究の第一人者