英国立宇宙センター(BNSC: British National Space Centre)は、民事利用分野での宇宙開発の新5カ年計画「UK Civil Space Strategy: 2008-2012 and beyond」を発表した。これまで取ってきた方針を転換し、大幅に宇宙計画を前進させる新ビジョンの提案も盛り込まれている。

欧州ではすでに、欧州宇宙機関(ESA: European Space Agency)や欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT: European Organisation for the Exploitation of Meteorological Satellites)が数々の宇宙計画を推し進めており、これまで英国は主に、こうしたプロジェクトに協力するスタンスで宇宙計画に携わってきた。

しかしながら新計画では、米国を始めとする、欧州以外の国や地域で推進されているプロジェクトにも、英国が積極的に関わっていく方針を明示。特に、1986年には有人惑星探査などのプロジェクトから撤退する方針を明らかにしていたが、この方針の見直しも検討され、月面および火星探査、その他の惑星における新探査計画の立案が発表されている。

また、ロボットを用いた宇宙開発や気候変動調査などを手がける最先端施設を、イングランド南西部のオックスフォードシャー州Harwellに建設するほか、通信衛星を活用した最新モバイルサービスなどの開発強化方針も示されている。

科学・イノベーション担当大臣のIan Pearson氏

今回の宇宙計画を進めることで、英国内では年間70億ポンド(約1兆4,800億円)の経済効果が見込まれるとしている。また、若者のサイエンステクノロジー分野への関心を高めて、優れた人材の育成にもつながると強調する。

今回の新計画発表にあたり、科学・イノベーション担当大臣のIan Pearson氏は「今後数十年の間に宇宙開発から得られる成果は、これまでの目ざましい成果をも、はるかに上回るものとなっていくことだろう。英政府は、発展する宇宙計画の最前線に立ち続ける決意を固めている」とコメントしている。