米EMC Symmetrixプロダクトグループ担当 上席副社長兼ジェネラルマネージャ ブライアン・ギャラガ氏

EMCジャパンは13日、Symmetrix DMX-4の新機能に関する説明会を開催した。米EMCが1月14日に発表したSSD(Solid State Drive)は、初のエンタープライズ向けフラッシュメモリドライブとして大きく注目された。このSSDが同社のハイエンドストレージ「Symmetrix DMX-4」のオプション製品として、3月31日から提供が開始される。容量は73GBと146GBの2タイプ。IBMや日立といった競合他社に対し、大きな差別化をもたらすとも言われているEMCのフラッシュドライブテクノロジだが、同技術がストレージの世界における「今後のメインストリームになる」(米EMC Symmetrixプロダクトグループ担当 上席副社長兼ジェネラルマネージャ ブライアン・ギャラガ氏)可能性はいかほどのものなのだろうか。

ギャラガ氏はまず、現在は「デジタル化されている情報量の増加に対し、ストレージの容量およびパフォーマンスが追いついていない状況」とし、HDDをベースとした従来のストレージソリューションでは「顧客の要求に応えていくことが難しい」と指摘する。データセンターのスペース不足や電力問題、管理コストの増大など、企業のIT環境はこれまでになく厳しい時代を迎えており、ディスクドライブを単純に追加していけば解決するような状況ではなくなりつつある。それでいながら、高速なCPUやアプリケーションに見合ったパフォーマンスや、障碍時においても"決して止まらない"ストレージ環境も求められている。

そういった顧客の要望に応えるため、EMCが提示するソリューションのひとつがSSDだ。半導体ベースのフラッシュメモリは、省電力と高速性を同時に実現するものとして、コンシューマの世界ではすでに一般的である。EMCは独自の技術(SLC(Single Level Cell)と高速コントローラの組み合わせ)でこれをエンタープライズストレージに対応させ、Symmetrix DMX-4上でドライブ当たりの消費電力38%削減、IOPSの30倍向上、応答時間の10倍高速化などを実現した。クレジットカード会社などミッションクリティカルなトランザクションを大量にかつ迅速に処理する必要がある企業にはとくに最適で、すでに「いくつかの顧客から商談が来ている」(EMC)という。

EMC Symmetrix DMX-4はEMCのハイエンド機種の中でも最高峰に位置するストレージ。アレイ内での幅広いストレージ階層化オプションを備えており、新製品のフラッシュドライブも"階層0"として扱える。写真は4筐体が並んだ状態のもの

EMCジャパン プロダクト・マーケティング部 部長 中野逸子氏

この新ドライブは「もともとは飛行中の機内から撮影した航空写真を迅速に処理するために作られたソリューションだった」(ギャラガ氏)そうだ。飛行機内という厳しい制約下では、軽量で迅速(低レイテンシ/高スループット)、省スペースといった条件を満たさなければならない。顧客が追い求めるものを一緒に探しているうちにたどり着いた答えが"フラッシュドライブテクノロジ"だったという。

まさしく画期的なテクノロジに聞こえるSSDだが、ネックとなるのはその価格だ。EMCは新ドライブの価格を明らかにしていないが、現在のSSDの相場を考えれば相応の価格であることは間違いない。だがEMCジャパン プロダクト・マーケティング部 部長 中野逸子氏は、前述のクレジットカード会社のように「トランザクションレートの高いアプリケーションを抱える企業には、決して高くないのでは」とする。もともと、Symmetrix DMX-4はEMCポートフォリオの中でも"最先端で最高価格"のストレージということもあり、何よりも可用性やパフォーマンスを重要視する企業であれば、それほど高くない買い物とも言える。

EMCジャパンは同日、Symmetirx DMX向けの新機能をいくつか発表した。これらも3月31日からの提供となる。

EMC仮想プロビジョニング

Symmetirx DMX-4およびDMX-3向けの統合/管理ソフトウェア。これを使用することで、物理的な割り当て以上の容量をフレキシブルにアプリケーションに提供できるようになる。新フラッシュドライブも(DMX-4の)アレイ内のストレージ"階層0"として統合することが可能。また、従来までのSymmetrixではプロビジョニングに9ステップ必要だったが、仮想プロビジョニングでは「デバイスの作成」「プールの追加」の2ステップだけとなり、シンプルで簡単になったことも特徴的だ。

SRDF/カスケード

EMCのリモートレプリケーションソフトウェア「SRDF(Symmetric Remote Data Facility)」が機能強化された。同期/非同期ミラーリング機能を利用して、複数のリモートサイトにオリジナルの最新コピーを少ないデータ容量で保存することが可能になり、遠距離サイトでの高いRPO(Recovery Point Objective: 障碍時におけるデータ復旧の目標地点)が実現。

IPv6およびIPSecのサポート

Symmetirx DMX-4およびDMX-3において新たにサポート。

1TBのSATA-IIディスクドライブ

Symmetirx DMX-4に対応した、「省電力と省スペースを同時に実現した」(ギャラガ氏)最新のアレイ内ディスク。電力効率が大幅にアップしている。