マサチューセッツ工科大学(MIT)およびTexas Instruments(TI)は4日(現地時間)、携帯機器向けに電力効率を10倍向上させるチップデザインを発表した。同技術は、ISSCC2008でも発表される。

同技術の実証実験は、TIのマイコン「MSP430」を用いて行われた。電力効率向上の鍵となったのは動作電圧を引き下げる技術。DC/DCコンバータをマイコン上に集積、SoC(System on a Chip)化したことで、1Vの動作電圧を0.3Vまで引き下げることに成功した。同技術実現の最大の課題となったのは、製造時におけるデバイスのバラつきであり、MITのAnantha Chandrakasan教授は「研究の大半は製造時のバラつきを最小限に抑えることに費やされた」としている。

また、同氏は、携帯機器や埋め込み型の医療機器、通信機器など稼働時間が重要となる分野において、「5年以内に実用化のめどが立つ」とし、「最終的には自然界に存在する電力だけで駆動させることを目指す」とコメントしている。