米Oracleは1月16日(現地時間)、ミドルウェアベンダーの米BEA Systemsの買収で合意したと発表した。買収総額は85億ドルで、BEA株1つあたり19.375ドルがキャッシュで支払われる。これは15日の取引終了時点でのBEA株価15.58ドルに24%のプレミアを乗せた金額となる。Oracleは2007年10月に1株あたり17ドル、総額66.6億ドルでの買収提案をBEAに対して行ったが、1株あたり21ドルでの買収交渉開始を主張するBEA経営陣と対立。Oracle側が指定した期限が切れるとともに交渉が打ち切られた。その後、水面下での交渉が再開され、今回の合意に至ったとみられる。

「BEAの製品と技術が加わることで、OracleのFusion Middlewareが大幅に拡充される。Fusionはホットプラグモデルを採用しており、BEAのJavaアプリケーションサーバWebLogicを組み合わせてシステムを構成することも可能だ。これはOracleとBEA製品の組み合わせの例の1つだ。今後何年にもわたって製品間の相互互換性やサポートも期待できるだろう」と米Oracle CEOのLarry Ellison氏はそのメリットを説明する。一方で同社プレジデントのCharles Phillips氏はBEAを「ミドルウェア業界のパイオニア」と表現し、3年以上にもわたって両社の統合が顧客より望まれていたことを明かしている。

BEAにはWebアプリケーションサーバのWebLogicのような大ヒット製品がある一方で、近年はAquaLogicのようなSOAソリューションに力を入れており、Oracleとは製品面でオーバーラップする箇所が多い。だがPhillips氏が示唆するようにBEAは業界のパイオニアであり、草創期よりBEAでシステムを積み上げてきた多数の優良顧客が存在しており、今回の買収でこれら顧客にOracleが接触する機会を増やすのが1つの狙いと考えられる。またPhillips氏は「中国などの特定地域への浸透力強化」を買収の要点として挙げており、米BEA会長兼CEOのAlfred Chuang氏の出身地である中国など、BEAが新規開拓を行っていた市場での展開加速を促す狙いもあるとみられる。ミドルウェアの世界ではIBMやHPなどが買収に次ぐ買収で製品ポートフォリオを大幅に強化しつつあり、OracleにとってはBEA買収が、これらライバルと対等以上に渡り合うための重要な鍵になる可能性を秘めている。